セキュリティメーカーのカスペルスキー(川合林太郎社長)は、小規模企業に向けたビジネス展開に力を注ぐ。この7月、低価格でファイルサーバーを保護する「カスペルスキー スモール オフィス セキュリティ」を発売した。エンドポイント端末10台以下での利用を想定したもので、パートナーとともに、小規模企業に売り込む。

 調査会社のIDC Japanは、来年以降、年商規模が100億円未満の企業に向けたIT市場が活況を呈すると予測している。景気の回復につれて、小規模企業も「攻めのIT投資」に乗り出す動きが背景にある。IDC Japan調べでは、2017年、年商100億円未満の企業に向けたIT市場の成長率は前年比2%を超え、中堅・中小企業(SMB)向けIT市場全体のなかで最も高い伸びとなる(図参照)。こうした情勢のなかで、カスペルスキーはこの市場に着目し、小規模企業への提案活動に力を入れる。


川合林太郎
社長
 カスペルスキーの川合社長は、「自社調べで、日本の中小企業の66%がサーバーを十分に保護していないという実態が明らかになった」と警鐘を鳴らす。小規模企業の多くは、家電量販店でセキュリティ製品を購入するが、もともとコンシューマ向けに開発されたこれらの製品は、基本的にサーバー保護機能を備えていない。そこでカスペルスキーは、「『スモール オフィス セキュリティ』を使えば、サーバーの保護もできる」(川合社長)ことを訴求し、中小企業に売り込む。

 カスペルスキーは、現在、法人向けビジネスが日本での売上高全体の約20%を占める。2013年に九州に営業拠点を開設したことに続いて、14年には大阪にオフィスを構え、西日本での事業拡大に取り組んでいるところだ。法人営業本部本部長の嵯峨野充執行役員は、「“北上戦略”を掲げて、これからは大阪以北の地域でも販売網を構築し、ビジネスを伸ばしたい」としている。直近では、地方自治体向けの案件が活性化しているので、この勢いに乗じて地方市場の開拓に力を注ぐ。

 川合社長は、「案件ごとに利益を出すという前提をなくして、まずは人を出して“顔がみえるベンダー”を目指す。そのうえで、中長期にわたって利益も確保して、ビジネスの拡大に結びつけていきたい」としている。(ゼンフ ミシャ)