日本マイクロソフト(平野拓也社長)は11月2日、リセラー向けの特別セミナー「設計者が語るSurface開発のコンセプトから製造まで - 開発の裏側を知って営業トークを研ぎ澄ます -」を、東京都港区のヒルトン東京お台場で開催した。

レポート用紙と同じ使い勝手

 最初のセッションでは、Surfaceの設計者であるマイクロソフトのアンドリュー・ヒル・Surfaceメカニカル・エンジニアリング シニアディレクターが登壇。Surfaceの設計者が来日するのは、今回が初めてとなる。
 
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マイクロソフト アンドリュー・ヒルSurfaceメカニカル・エンジニアリング
シニアディレクター

 ヒル・シニアディレクターはチームワークの重要性について紹介し、「Surfaceチームは互いに尊敬しあっている。それがわれわれの文化だ」と語った。そのうえで、アイデア出しに始まり、プロトタイプの作成、開発、テスト、マーケティングといったSurfaceの開発サイクルについて説明。「何百ものプロトタイプをつくる。その都度、アイデアを盛り込み、デザインを変えていく。ときにはソフトウェアチームも加わり、例えば、CADソフトの使い勝手はどうか。解像度を高くするとCADは扱いやすくなるが、バッテリが持たないのではないか。そうした見極めにも多くの時間をかけている」。デザインが決まると、コネクタや熱処理などの詳細を詰めて、製品化を進めていく。

 製品のリリース以降は、SurfaceチームでもSurfaceを活用している。そのメリットについて、「Surfaceはペンが利用できる。これでコミュニケーションが大きく変わった。例えば、アイデアをスケッチで表現できるので、会議が迅速化した。また、最初のSurface Proを開発するときは、7ポンド(約3kg)もあるようなノートPCを使っていた。それが、Surface Proで一気に軽くなったため、カバンに入れて持ち運びやすくなった」と、ヒル・シニアディレクターはSurfaceのメリットを実感している。

 Surface Pro 3の開発では、「レポート用紙と同じ使い勝手」を目指した。「レポート用紙のように持ち運んで自由に書き込める。デザインもレポート用紙に近いものを目指した」という。本体を支えるキックスタンドも、きれいに収納できるようにするなど、細部までレポート用紙の使い勝手を追求している。

 「CADソフトも快適に活用できるパフォーマンスを求めたのが、Surface Book」(ヒル・シニアディレクター)だ。キーボード側にGPUを搭載して、処理能力を高めた。ただ、軽量化にはこだわった。「野球チームのレポーターが、ノートPCで記事を書くが、インタビューではレポート用紙に書き込む。ノートPCでもっと自由に仕事ができたら、一つですむのではないかと考えた」。そのためには、軽量化が必要だった。ほかにも、ヒンジ部分の可動域、キーボードの使い勝手など、多くのプロトタイプを用意し、課題を見つけては対処したという。完成が近づいてからは、無響室でマイクやキーボードの打鍵音などのチェックも実施した。「使い勝手や感触には非常に満足している」と、ヒル・シニアディレクターは胸を張る。

 マイクロソフトは先月、ニューヨークで開催したイベントでSurface ProとSurface Bookの新製品と、ダイヤル式の入力デバイス「Surface Dial」を発表した。Surface Dialは、ディスプレイ上に置いて使用する。ダイヤル操作で画面を回すことができるため、CADなどの3D画像で有効活用できる。ヒル・シニアディレクターは、動画でSurface Dialなどの活用シーンを紹介した後、今後の製品開発について、「ユーザーがどのように活用しているか、Surfaceによってビジネスの課題をどう解決しているか。そうした情報から、多くのエネルギーをいただいている。ユーザーのフィードバックをいただくほど、製品の完成度が上がっていく」と語り、今後の製品開発に意欲を示した。

リセラー向け期間限定支援プログラムを用意

 次のセッションでは、「日本におけるSurfaceリセラー様向け支援策」と題し、日本マイクロソフトの小黒信介・Windows & デバイス本部エグゼクティブプロダクトマネージャーが登壇。日本におけるSurfaceのリセラー施策を紹介した。
 
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日本マイクロソフト 小黒信介 Windows & デバイス本部エグゼクティブ
プロダクトマネージャー

 小黒マネージャーは冒頭、PC市場が縮小傾向にあるなか、ディスプレイを切り離すことのできるデタッチャブル市場が伸びていると紹介。「市場自体はまだ小さいものの、倍々で伸びている。それを牽引しているのがSurface」と説明。デタッチャブル型PCでは、Surfaceが最初の選択肢になっていると紹介した。実際、社内標準機として採用するケースが増えていて、数百台を導入する事例もでているという。

 Surface Bookについては、「GPU搭載のSurface Bookは、当社としても新しい市場になる。GPUのパワーをどう生かすかがポイントとなるので、フォトグラファーやイラストレーター、CADオペレータ、経営者などのインタビューを公開している。そのなかからCADを使用するユーザーの声として、プロダクトデザイナーの片岡哲氏のコメントを動画で紹介。「Surface Bookでワークスタイルが劇的に変わった。紙に書く感覚で使用できる。最初のコンセプトを書くのは、机の上ではなく、気分次第で選びたい。Surface Bookなら場所を選ばない。また、3DのCADが快適に動くので、顧客との打ち合わせで使用でき、会議の場でデザインを決めるといったことができる。生産性がとても上がった。デザイナーの求める要素がすべて揃っている」と、Surface Bookを使用しての感想を述べていた。ちなみに、Surface Bookは主要なCADベンダーから動作認定を得ている。

 多くのユーザーから支持を得ているSurfaceだが、市場は急拡大中ということもあり、日本マイクロソフトは、Surfaceにおけるリセラー支援策を積極的に展開している。まず、12月までの期間限定で二つのキャンペーンを用意。一つは、Surface Pro 4 Core i5 128GBモデルの購入で、Type coverを無償で提供する。もう一つは、Surface Book Core i7 256GB GPU付きモデルの購入で、「Surfaceドック」「アークタッチマウス」「VGAアダプタ」という4万円相当のアクセサリを無償で提供する。

 さらに拡販支援プログラムとして、認定リセラー(D-VAR)を対象に、社内利用や検証用、提案用のデモ機として、Surface Pro 4/Bookを半額で提供。販売実績に応じた台数を用意している。また、トレーニングのためのスキルアップセミナーを提供。「ぜひ、営業担当者を集めてトレーニングを受けていただきたい」と小黒マネージャー。5名以上を条件として、リセラーのオフィスにおいてセミナーを実施する。

 また、日本マイクロソフトでは50台以上を「案件」としているが、12月末まで10台以上に条件を緩和。案件登録をすることで、ディスカウント価格でSurfaceを提供する。最後に小黒マネージャーは、「これからSurfaceビジネスを拡大していく。ぜひ、リセラーに登録していただきたい」と語った。会場には、最新のSurfaceのほか、内部構造を紹介するためにスケルトンにした特別仕様のSurface Bookも展示されていて、参加者の関心を集めていた。
 
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こちらも初来日。内部構造を紹介するためにスケルトンにした特別仕様のSurface Book