キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS、足立正親社長)は、インターネット技術の標準化団体IETF(インターネット技術タスクフォース)によって今年8月に正式リリースされた暗号化通信規格「TLS(Transport Layer Security)」の最新バージョン「TLS 1.3」について、IoTセキュリティー分野での提案を進めている。

 TLSは、インターネット通信を暗号化する技術で、サーバーとクライアント間における通信内容の改ざんや盗聴を防止する。4年以上の議論を経て公開された最新版は、脆弱性のある暗号化アルゴリズムを削除し、よりシンプルで強力な暗号に対応。また、暗号化通信を開始する前に行われるハンドシェイクを効率化し、サーバーとクライアント間の往復通信回数(ラウンドトリップ)を減らすなど、安全性の向上や通信の高速化を実現した。

 こうした点が、「(リソースの限られる)IoT機器での利用に向いている」と、キヤノンITSのエンベデッドシステム事業部エンベデッドシステム第一開発本部エンベデッドシステム14開発部エンベデッド141開発課の市原創氏は説明する。

 今年11月に横浜で開催された展示会「ET & IoT Technology 2018」では、実際にTLS 1.3を使った組み込みセキュリティーサービスを展示した。機器の故障予知や従業員の体調検知、生体認証など、TLS 1.3の利用シーンを紹介した。「位置情報や生体情報などの重要な情報は、暗号化で通信するべき。TLS 1.3を使うと安全にできる」と、同課課長の加藤晶啓氏は話す。

 同社はキヤノングループで複合機を製造・販売していることから、組み込みシステムに豊富な知見を持ち、現在もそれを生かしたIoTシステム関連のソリューション提案を行っている。そこにTLS 1.3を使った暗号化通信も取り入れ、提案活動を本格化させていく。提案に当たっては他のSIerと得意分野を持ち寄って連携し、提案を進めていく意向だ。(前田幸慧)