山口県長門市(大西倉雄市長)は11月13日、日立システムズ(北野昌宏社長)と業務委託契約を結び、集客力の向上と周遊観光の強化を図り「経済効果を実感できる観光振興」の実現を目指すと発表した。

長門市の主な観光スポットの一つ大寧寺

 長門市は、人口減少社会にあっても活力を維持できるまちづくりを進めることが必要と見ており、そのためには交流人口を増加させ、地域産業の担い手の育成や地場産業の振興につながる観光振興を重要な取り組みと位置付けている。そのなかで、長門湯本温泉観光まちづくり計画に基づく温泉街の再生、道の駅センザキッチンの建設による地場産品の販路拡大、山陰自動車道の建設を通じた物流・交通対策、ラグビーワールドカップ2019日本大会でのカナダチームのキャンプ招致による国際交流など、さまざまな取り組みを進めてきた。この結果、18年の観光客数は過去最高の約254万人となっている。

 こうしたなか、長門市はさらなる観光振興を通じた地域活性化に取り組むため、「ながとフリーWi-Fi整備事業」を実施することとし、公募型プロポーザルにより日立システムズと契約した。同事業では、今後のインバウンド観光客の増加を踏まえ、国内外からの観光客をはじめとした来訪者に対して、情報通信手段の利便性の向上や観光・イベント情報の発信、また屋外でのキャッシュレス決済のための情報通信手段の提供などを通じて、さらなる長門市への集客力の向上と周遊観光の強化を図る。
 
長門市の主な観光スポットの一つ元乃隅神社

 具体的には、長門市の主要な観光地である長門湯本温泉や道の駅センザキッチン、元乃隅神社、交通の要所である長門市駅や長門湯本駅などに、無料で利用可能なWi-Fi環境を整備することにより、ICTを活用した経済効果を実感できる観光振興の実現を目指す。今回整備するWi-Fi環境は、これまで日立システムズが自治体向けにクラウドサービスとして提供してきた実績のあるもので、接続時にクラウド基盤と連携し、国内外からの来訪者に多言語で利用可能なサービスを提供することが可能。このセキュアで高速なWi-Fi環境は来訪者の位置情報に基づき、各観光地の魅力的な情報発信を支援するほか、屋外店舗でも専用端末なしでキャッシュレス決済システムの設備として利用できる。

 さらにWi-Fi環境を活用し、収集するデータの利活用を通じたデジタルマーケティングによる観光施策の強化に取り組む。具体的には、各観光地や交通要所に設置したアクセスポイントから得られるログデータを活用し、来訪者数や滞在時間、リピーター数などの可視化や来訪者の動線分析を実施することにより実現を目指す。

 構築した設備の運用・保守、セキュリティ監視などは、日立システムズが自社のコンタクトセンターやデータセンター、セキュリティオペレーションセンター(SOC)などのサービスインフラを活用し、ワンストップで支援する。

 今後、長門市と日立システムズは、2020年3月末までにWi-Fi環境構築を完了し、本格運用を開始する。ICTを活用し、観光客の満足度向上、集客力の向上、周遊観光の強化による観光産業の振興に取り組むことで、魅力ある雇用の創出などを融合した活力を維持できるまちづくりを推進していく。また、日立システムズでは、この取り組みが、同様の悩みを抱える自治体の課題解決に向けた1つのモデルケースとなることを目指す。