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宮崎県都城市の避難所をデジタル化、Gcomとバカンが提携

2021/10/15 10:00

 Gcomホールディングス(Gcom)は、AIとIoTを活用してさまざまな空き情報を配信するスタートアップのバカンと提携し、宮崎県都城市を実証フィールドとした避難所のデジタル化に着手する。避難所の混雑可視化や非接触型の避難所受付をはじめとしたサービスを提供することで、防災能力の向上を目指す。なお、同サービスの本格運用は宮崎県都城市が全国初となる。

デジタルケア避難所構築事業

 宮崎県都城市は、令和元年4月に「都城デジタル化推進宣言」を宣言し、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」をテーマに行政のDX化を進めている。今回の取り組みもこの一環で、避難者へ負担をかけることなく、スムーズな避難所運営を図るために避難者、避難所管理者、災害対策本部の3者の効率化が期待できる仕組みの構築を目指す。

 具体的には、10月1日時点で約190団体と契約、1万2000避難所を管理している避難所の混雑可視化サービスを提供する。避難者は、マップ型リアルタイム混雑情報配信サービスにPCやスマートフォンなどでアクセスすることで、アプリなどのダウンロード不要で各避難所の位置や混み具合が確認できる。非接触型のスマート受付との連動で避難所の混雑状況はリアルタイムに更新される。

 また、非接触型のスマート受付により、避難者の情報を非接触で自動的にデータ化し管理・分析することが可能となる。スマートフォンで事前にユーザー登録をしておくことによって、避難所では2次元バーコードを提示するだけで受付を済ませることができる。ほかにもマイナンバーカードや免許証といった身分証の情報をカメラ式OCRで読み取り受付を行うことができるため、デジタルになじみの薄い世代もカバーする。

 さらに、避難所の在庫管理機能を提供。各避難所にある保管物資などの情報を集約し、災害対策本部で簡単に一元管理できるため、物資補給などがスムーズになる。

 災害対策本部と各支部で手軽にコミュニケーションを取れる伝言板機能も提供する。発災時はさまざまな事案に対応する必要があるため投稿件数が多くなることから、必要な情報が埋もれてしまわないよう、さまざまな検索機能を用意している。本部から全避難所への全体配信機能に加え、本部と特定の避難所間のやりとりも可能とする。一方通行に発信する連絡手段ではなく、必要な情報を必要なときに必要な職員が取得できるよう配慮している。

 これらサービスの導入によって、避難所を運営する際に密や行列の発生を抑制、運営の省人力化・効率化などが期待できる。また、年齢によらず幅広い住民が安全・快適に避難できる、避難所の包括的な防災DXを実現する。この取り組みを推進することで、自治体と避難者の双方の課題を解決し、多様化・深刻化する大雨などの災害に対して強い避難所の新しいモデルケースの確立を目指していく。
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外部リンク

Gcomホールディングス=https://www.gyoseiq.co.jp

バカン=https://corp.vacan.com

宮崎県都城市=https://www.city.miyakonojo.miyazaki.jp/