日本オラクルは7月7日、本年度の事業戦略説明会を開き、三澤智光社長が事業成長に向けた五つの重点施策を掲げた。特に日本コーポレートITの変革へ、「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)による「ミッションクリティカル・システムの近代化」、各種の業務系SaaSを活用した「ビジネスプロセス全体のデジタル化」に注力する姿勢を強調した。
三澤智光 社長
三澤社長は日米のIT投資額と名目GDPの推移を比較し、伸び悩み続けるIT投資が、経済成長の停滞に影響を与えている可能性を指摘。その上で、日本のITシステムの運用・保守に予算の8割程度が割かれてる点を踏まえ「既存補修に対する投資を下げなければ、新規の投資は起こらない」と述べ、ITコスト構造の変革が不可欠とした。
OCIのメリットについて三澤社長は、クラウド移行による更改・運用コストの大幅削減、パッチの恒常的な適用を通じたセキュリティの担保、データ活用の促進などを挙げた。普及にはローコストかつ短期間でのデリバリーが必要であることから、パートナーとのデリバリー技術の共有を積極的に進めていくとした。
他方、労働生産人口の減少が続く日本では、間接業務の省人化も重要であり、デジタル化による業務自動化が課題になるとも指摘。ERPをはじめとしたオラクルのSaaS群の導入で、データドリブン経営の実現、マニュアル自動化、AI活用が円滑化できるとアピールした。
このほかの重点施策は▽安全、安心で、豊かな暮らしを支える社会公共基盤の実現▽社会・企業活動のサステナビリティを加速▽ビジネスパートナーとのエコシステムを強化──。公共部門での採用促進、ESG経営推進の支援、パートナーとの共創拡大などに努める。
引き続き、クラウドネイティブなパートナーの開拓に取り組む考え。三澤社長はSoEのソリューションを得意とする企業であっても、近年はSoRとの連携が必須になってきたとし「SoRの仕組みの大半がオラクルで作られており、(クラウドネイティブな)パートナーの皆さんがわれわれに目を向ける機会は今後増えていく」と期待を込めた。
(藤岡 堯)