米Microsoft（マイクロソフト）のサティア・ナデラ会長兼CEOは11月16日、都内で開かれた日本マイクロソフトのイベント「Empowering Japan’s Future」に登壇し、同社のクラウドソリューションによる企業変革のあり方などについて語った。ナデラCEOはキーワードとして「Do more with less」（より少ないリソースでより多くのことを実現する）」を挙げ、「日本がデジタル技術を取り入れ、自らを変えるだけでなく、世界を変えるデジタル技術を生み出していくことを楽しみにしている」とメッセージを送った。
 
　ナデラCEOは▽クラウドインフラへの移行▽データ・AIの活用▽フュージョンチーム（IT技術者と実業務に精通した担当者との混成部隊）の支援▽アフターコロナの新しい働き方に対応した組織の再活性化──など、現代企業が抱える課題に対して、マイクロソフトのテクノロジーがいかに貢献できるかを、国内企業の事例とともに解説した。

　「Azure」の活用例としてはセブン銀行を挙げ、ATMを中心としたトランザクションに対応するとともに、Azureのダッシュボードによって環境負荷の可視化・分析などを行い、サスティナビリィに関する目標実現に取り組んでいるとした。

　データ・AIの分野では、農業スタートアップのAGRISTを取り上げ、収穫用ロボットや作物の収穫効率・収量の向上の研究開発にAzureのIoTサービスなどを利用しているとした。

　フュージョンチームの支援に関しては、「GitHub」を全社で利用するメルカリや「Power Platform」を活用した市民開発に力を入れる花王の事例を紹介。組織活性化をめぐっては、「Viva」を働き方改革に取り入れている渋谷区役所の例を示した。

　米国時間の11月14日に発表した「Supply Chain Platform」に関連し、サプライチェーン管理にマイクロソフトのソリューションを利用しているヤマハ発動機の取り組みに触れたほか、仮想空間を使って製造業のビジネス刷新を図る「インダストリアルメタバース」を、マイクロソフトと連携して進める川崎重工業についても言及した。セキュリティの重要性についても説明した。

　冒頭、日本マイクロソフトのアーメッド・ジャミール・マザーリ社長（マイクロソフトアジア・プレジデント）も壇上に立ち、「日本は過去における製造業の変革と同等かそれ以上に、デジタルトランスフォーメーションにおいても大きな役割を担う」などとあいさつした。
（藤岡 堯）