サイボウズは2月22日、2022年12月期の決算・事業説明会をオンラインで開催し、青野慶久社長は国内クラウド関連売上高の61.1%がパートナー販売だったことを明らかにした。ノーコードツール「kintone」が業績を牽引し、パートナー販売の売上高は110億300万円に上った。地方の金融機関をはじめ、非IT系のパートナーの獲得が進み、パートナー数は約400社に達した。販売面だけでなく、周辺ソリューション開発やユーザーへのリスキリングなどを手掛けるパートナーも順調に拡充しており、23年も引き続きエコシステムの発展に努める考えだ。
青野慶久
社長
22年12月期の連結売上高は前期比19.4%増の220億6700万円と堅調に上積みを果たした。利益面についてはテレビCMをはじめとした広告宣伝に大きく投資した影響で、営業利益は57.5%減の6億1100万円、経常利益は32.8%減の9億8700万円、純利益は88.0%減の6600万円にとどまった。
初公表の製品別売上高によると、kintoneは32.4%増の104億1400万円で、初めて100億円を突破した。青野社長は「一つの製品で100億円売っているというのは聞かない。強い製品に育ってきた」と手応えを示す。
国内クラウド関連売上高におけるパートナー販売額も初めて公開し、青野社長は「直販も伸びているが、それ以上にパートナー経由の販売が伸びている」と強調。最近ではSIerなどIT系のパートナー以外にも、地方金融機関がkintoneを活用したコンサルティング事業を展開したり、人材派遣会社と協力し、kintoneスキルを有する人材を派遣する取り組みを進めたりしているという。
パートナー経由売上の比率については「50%を切らないところを目安」(栗山圭太・営業本部本部長・事業戦路室室長)としており、今後もパートナーを中心とした販売戦略を進める方針だ。IT系のパートナーに期待することとして、栗山本部長は、顧客のSIに対するニーズがよりアジャイルな方向に変化しているとした上で「顧客に合わせて、アジャイルなかたちで伴走できるパートナーとお付き合いしたい」と話した。
今後の販売戦略として、自治体や官公庁へのkintone導入を推進する姿勢を示した。22年4月には、自治体で全職員へ導入する場合に適用される新ライセンス体系をリリースしたほか、23年4月からは省庁職員の出向を受け入れ、省庁向けkintone導入拡大のための体制を強化する。リコーとの協業による米国展開も加速させる。
投資に関しては、これまでの短期集中型から23年からは中長期的な視点に切り替え、25年までの全社スローガン「25BT」(2025 and go Beyond with Trust)に則り「5年、10年先を見て」(青野社長)取り組んでいくとした。23年12月の業績予想は増収を見込み、利益面では投資の抑制が上振れ要因となり、すべての利益段階で増益となる見通しだ。(藤岡 堯)