OKIは8月30日、2025年までのDX戦略を発表した。5月に明らかにした中期経営計画と連動した内容で、将来事業の創出にフォーカスし、社内改革と顧客の課題解決の両面に取り組む。組織や業務プロセスの変革、ソリューションの創出など、社内のあらゆる業務でDXを推し進め、施策同士の横の連携を深めることで成長を目指す方針を示した。
同社は22年にDX戦略を示しており、今回はこれを中期経営計画と連動するかたちでアップデートした。今年5月に発表した25年までの中期経営計画の中で、同社は▽安心・便利な社会インフラ▽地球環境の保全▽働きがいと生産性向上--の3点を貢献すべき分野として挙げており、これらをDXによって実現し、競争力強化を目指す。
坪井正志 理事
同社は、新しいソリューション創出と既存プロダクトの強化を合わせて、成長に必要な「将来事業」と位置付けた。坪井正志・理事デジタル責任者(CDO)は「DX戦略は、経営戦略と連動している必要があるとの認識のもと、将来事業創出のための価値創造がDX戦略の役割になる」と説明した。
DXによる社内改革として、「全員参加型イノベーション」「モノづくり基盤強化」を掲げた。具体的には、国内外にある工場をネットワークでつなぎ、稼働状況によって工場間で生産を移管するなど機動的に連携する「バーチャルOneファクトリー」の取り組みなどにより、一層の生産性強化を目指す。社外向け改革のテーマは「AI、IoTを駆使したエッジソリューション」「顧客のDXを支援するプロダクト、サービス」の2点とした。インフラデータの横断活用などに対応するエッジプラットフォームの構築により、製造、防災、海洋など多分野のDXを支援する。
内部改革で得た知見や自社の技術を、顧客の課題解決につながるサービスとして展開することを目指しており、同社が取り組んできた生産部門の全社効率化策「バーチャルOneファクトリー」などを外販することも想定している。
DX戦略の四つの軸については、「単体で実施するのではなく、互いに連携してうまく回していくことが重要で、それにより価値が生まれる」(坪井理事)という認識(図参照)で、DXの取り組みにおいて社内外のプロセスを循環させ、相乗効果を高めることを目指していくとした。
(堀 茜)