クオリティソフトは2月22日、東京都内のホテルで創立40周年記念講演会を開催した。浦聖治CEOは、クラウド事業に特化した新会社「Quality Cloud」を2023年10月に設立したと説明し、自社製の新しいクラウド基盤「Quality Cloud System(QCS)」を提供する方針を示した。
浦 聖治
CEO
浦CEOは「The Cloud Companyというからには、クラウド基盤が非常に大事」と強調。QCSについては「安心、安全、安価なクラウド基盤だ」とアピールし、パートナーと「一緒に育てていきたい」と協力を求めた。クラウド基盤の構想は5年ほど前からスタートし、昨年からアプリケーションが基盤上で稼働しているという。
Quality Cloudについては、QCSを提供することが設立の目的だと説いた。設立に際しては、23年9月に第二電電(現KDDI)創業者の千本倖生氏と面会した後、翌10月に再会し、すぐに会社を設立するよう言われたと紹介。それから取締役の司法書士を中心に動き、千本氏を会長に迎えてスピーディな設立に至ったと裏話を披露した。
一方、クオリティソフトはこれまで手掛けてきたエンドポイントセキュリティに引き続き注力するとし、「われわれのエージェントが入っていると、仕事がしやすくなり、生産性が上がるという方向にしていきたい」と力を込めた。
長谷川堯一
CTO
その後、長谷川堯一・CTOが「クラウド基盤QCS」をテーマに講演。QCSに関して、Kubernetesベースのコンテナによるコンピューティング環境を提供することなどを特徴として示し、「省電力、低コスト、ダウンタイムゼロ、分散可能な機器構成を目指して開発を進めてきた」と話した。
講演会の会場
QCSの性能については、クラウド型PC管理&セキュリティ対策サービス「ISM CloudOne」を「Amazon Web Services(AWS)」から移行して計測した結果、CPUやメモリなどを含めてサーバー負荷の懸念はなく、運用不可の状態にならないことを確認。AWSで運用した場合に比べてサーバーコストや人件費が削減できたとした。
今後の方向性としては、QCSを根幹に、コンテナ移行コンサルティングやKubernetes活用支援などのサービスを想定しているとし、「会社ができ、安定して動く基盤もある。近々、ビジネスを開始していく」と語った。
講演会ではこのほか、野村総合研究所の専務執行役員で、NRIデジタルの増谷洋会長兼CEOが「AIで拓く、創造化社会への道」と題して直近の動向などを解説した。講演会の後にはパーティも開かれ、大勢の人が創立40周年を祝福した。(齋藤秀平)