リコーは主力の文書管理ソフト「DocuWare(ドキュウェア)」を中心に業務プロセス自動化の機能を強化する。複合機やドキュメントスキャナーで読み取った画像データや、PDFなどの電子ファイルをDocuWareで管理する前段階で帳票ごとに自動分類したり、重要な数字や文字を抽出する機能を高めたりすることで「手作業による分類や転記をなくす」(入佐孝宏・コーポレート上席執行役員リコーデジタルサービスビジネスユニットプレジデント)ことが可能になるという。
入佐孝宏 プレジデント
機能強化に当たっては、ドイツのITスタートアップ企業でAI OCRや書類の自動分類ソフトを開発するNatif.ai(ナティフエーアイ)を4月2日付でリコーグループに迎え入れ、DocuWareと連携する。例えば、注文書や納品書、請求書など会計業務に関する伝票をDocuWareに保存する場合、「Natif.ai」を使うことで顧客名や数字を抽出し、伝票の種類ごとに分類。注文書の内容と納品書、請求書を照らし合わせて合致しているかどうかまで自動で行う。
ほかにも会員申し込みや各種手続きに関する書類も同様で、読み取りから分類、照らし合わせまでのワークフローをユーザー企業が設定することで、「DocuWareに保存するまでの作業の自動化が実現できる」と、高松太郎・デジタルサービス事業本部プロセスオートメーション事業センター所長は話す。Natif.ai側で業務別のテンプレートを用意しているほか、ユーザーが業務でよく使う帳票の様式をAIに学習させ、精度を高めることもできる。
現時点のNatif.aiの対応言語はドイツ語と英語だが、リコーでは今年9月末までをめどに日本語、フランス語、スペイン語にも対応させる予定。また、DocuWare以外の業務アプリとの連携や、複合機などのデバイスに組み込むなどして業務プロセスの自動化に役立てていく方針だ。
(安藤章司)