アマゾン・ウェブ・サービス・ジャパン(AWSジャパン)は7月22日、生成AIの社会実装を促進する国内独自の取り組み「生成AI実用化推進プログラム」を発表した。基盤モデルを改良したり、開発したりする企業向けと、公開されている基盤モデルのビジネスへの適用を目指す企業向けの二つのアプローチを用意し、パートナーとのマッチングなどを通じて支援する。約50社の参画を見込んでいる。
基盤モデルを開発・改良する企業向けには、開発環境の構築支援やデータの準備のほか、構築したモデルを活用した市場展開を後押しする施策として「AWS Marketplace」への登録や共同マーケティングなどでサポートする。
小林正人 技術本部長
基盤モデルのビジネス活用に取り組む企業には、モデル選定やセキュリティー対策、コストの最適化といった設計方針の策定に加え、検索拡張生成(RAG)の構築、ファインチューニングといったカスタマイズの支援を提供し、生成AIを組み込んだアプリケーションの実用化を推進する。
プログラムには、支援先企業にAWSジャパンのパートナーを紹介する制度も盛り込み、コンサルティングや運用・保守、支援企業が開発したモデルを活用したアプリケーションの構築などで連携できるようにする。
サービス&テクノロジー事業統括本部の小林正人・技術本部長は「国内でも生成AIは、『使ってなんぼ』という段階にきている。ビジネスでの実用化を進めるために支援先企業だけではカバーできない部分はパートナーに担ってもらいたい」と説明。その上で、「今回のプログラムのポイントは(AWSジャパンが)ヒアリングなどの活動を徹底すること。請負にするか、スキルトランスファーも含めた準委任にするかなど、支援先企業とパートナーの個別の要望を踏まえた上でマッチングを提供する」とした。
そのほか、総額約1000万ドルを投資し、想定コストの半額を上限として各支援先企業のサービス利用料の負担の軽減に充てるほか、支援先企業が参加するコミュニティーを立ち上げてナレッジを共有するイベント「AWS Generative AI Frontier Meetup」を定期的に開催する。先行するプロジェクトで得られた知見を共有し、支援先企業の取り組みを効率化するとした。
各種支援はAWSジャパンとのディスカッションに基づき内容やスケジュールを決定する。参加の応募締め切りは2024年10月31日。実施期間は25年3月末まで。
(大畑直悠)