富士通と国立情報学研究所、NEC、慶應義塾大学SFC研究所、東京科学大学、東京大学、会津大学、名古屋工業大学、大阪大学の9者は10月16日、偽情報対策プラットフォームの構築を目指し、共同研究開発を開始すると発表した。生成AIなどによる偽情報の検知や対処を可能にすることを目指す。

　現在、自然災害や医療、政治などさまざまな分野で偽情報が問題となっている。コミュニケーションツールや生成AIが発達し、偽情報がより拡散しやすい環境ができており、一度拡散してしまうと不確かな情報によって混乱が生じる恐れがある。このため情報の検知から根拠収集、分析、評価までを統合的に実行する偽情報対策プラットフォームを構築し、問題解決を目指す。


　プラットフォーム構築にあたり、四つの技術の研究開発に取り組む。具体的には、「メディアデータごとの情報分析と偽情報検知」を国立情報学研究所とNECが、「根拠、エンドースメント管理」を慶應義塾大学SFC研究所や富士通、大阪大学が、「総合真偽判定支援」を富士通と名古屋工業大学が、「偽情報影響度評価」を東京科学大学や東京大学、会津大学がそれぞれ担当する。特に富士通は、研究開発を主導するのに加え技術の統合や体系化、プラットフォーム全体の構築に取り組む。

　2024年度は企業や公的機関向けのユースケースの分析と機能要件の抽出のほか、技術の研究開発に取り組む。25年度末までに、四つの技術を統合した偽情報対策システムを構築する予定。

　同日の説明会で富士通の山本大・データ＆セキュリティ研究所リサーチディレクターは「国内屈指のメンバーがそろい、オールジャパンで偽情報という課題に向かっていくところに新しさがある」とコメントした。
（大向琴音）