富士通と米Advanced Micro Devices(アドバンスド・マイクロ・デバイセズ、AMD)はこのほど、AI・HPC基盤の開発・事業化に関する戦略的協業を結んだ。富士通のCPU技術とAMDのGPU技術を掛け合わせ、2027年の早い段階で大規模なAIワークロード処理と省電力化を実現する基盤の提供を目指す。オープンソースソフトウェア(OSS)をベースとしたAI向けソフトウェアの開発も進め、ハード、ソフトの両面でAI活用環境の多様化に貢献する。
新基盤はArmベースの次世代プロセッサー「FUJITSU-MONAKA」と「AMD Instinctアクセラレータ」と組み合わせて開発を進める。基盤の提供形態に関しては、クラウドサービスやオンプレミス環境への設置など、ユーザーのニーズに合わせて選べるかたちとなる見通しだ。
AMDのGPU用AI/HPCソフトウェアスタック「AMD ROCmソフトウェア」とMONAKAのソフトを中核に、OSSのコミュニティーなどとも連携して開発し、基盤を中心としたエコシステムの形成を図る。基盤のグローバル提供に向けたマーケティングや顧客との共創を展開するほか、カスタマーセンターの設置などにも共に取り組む。
富士通のヴィヴェック・マハジャン副社長(左)と
米AMDのフィル・グイドEVP
11月1日に都内で説明会が開かれた。富士通のヴィヴェック・マハジャン・執行役員副社長CTO・CPO・システムプラットフォーム担当は「富士通はHPCで実績がある。AMDは(AIで)素晴らしい技術を持っている。CPUとGPUの連携を強化し、ローコストとパワーを両方提供したい」と説明。AMDのフィル・グイド・エグゼクティブバイスプレジデント(EVP)兼チーフコマーシャルオフィサーは、AIの進化において、データセンターのスペースや電力の問題は避けられないと指摘した上で「これらの課題の解決を支援する」と話した。
(藤岡 堯)