ヤマトホールディングス（HD）傘下のSustainable Shared Transport（SST）と富士通は2月1日、荷主企業や物流事業者向けの共同輸配送システムの稼働を開始した。合わせて、SSTは共同輸配送サービス「SST便」もスタートした。1月27日には記者会見が開かれ、事業を通じて持続可能な物流配送網の実現を支援する姿勢を示した。

　SSTは荷主企業や物流事業者などの多様なステークホルダーが参画できる共同輸配送のオープンプラットフォームの実現に向け、2024年5月に設立。25年2月1日付で富士通は5000万円を出資する。


　SSTはリアル空間における物流オペレーションと、管理・運用面を担うデジタルテクノロジーの両方でプラットフォームを用意し、共同輸配送を物流の選択肢の一つとして確立させたい考えだ。リアルな物流のオペレーションに関しては、混載輸送や中継輸送、定時運行などの工夫で作業を標準化して効率化を図る。デジタル面では、データ基盤として富士通のオファリング「Fujitsu Unified Logistics」を活用した共同輸配送システムを構築。荷主企業の出荷計画や荷姿、荷物量などの情報と、物流事業者の運行計画を基にして最適な輸配送計画を作成する。

　SST便については、宮城県から福岡県の間でトラック便を1日16便運行し、荷主はパレット単位で預けることができる。SSTの高野茂幸社長は「効率的でサステナブルな物流を選んでいただくための選択肢を提供したい」と述べ、富士通の時田隆仁社長は「将来的には多業種のデータ連携基盤と組み合わせ、広範囲なデータ連携の仕組みとして構築し、多くの社会課題の解決に貢献したい」と展望した。ヤマトHDの長尾裕社長も出席した。
（大向琴音）