富士通は6月26日、コンサルティング事業に関する説明会を開き、2024年2月に立ち上げたコンサルティング事業ブランド「Uvance Wayfinders」について、データとAIを軸に据えた組織・業務の変革支援を強化する方針を示した。事業モデル「Uvance」で課題となっている「Vertical」領域の販売拡大に向けても、データやAIを活用できるビジネス環境の整備に努めるとした。
同社は今後のビジネス変革の中核としてデータとAIを位置付ける一方で、従来の人間中心の業務設計・ITアーキテクチャーではAIの能力を十分に発揮できない可能性があると分析。既存のSIビジネスで得た業界ごとのナレッジ、ミッションクリティカルな業務に適応できる技術基盤、最新テクノロジーへの対応能力などを生かし、業務とITの一体的な変革をサポートする考えだ。
Uvanceに関しては、コンサルビジネスの拡充などが成長に寄与し、25年3月期の売上収益は前期比31%増の4828億円と着実に伸びている。ただ、売上収益の内訳を見ると、テクノロジー基盤の「Horizontal」領域が想定を上回って伸長し、社会課題・経営課題を解決する具体的なソリューションに相当する「Vertical」領域は当初の計画を下回って推移。Vertical領域をいかに成長軌道に乗せるかが、当面の課題となっている。
この課題に対して同社は、Horizontal領域にあたるレガシーシステムのモダナイゼーションビジネスにおいて、単なる近代化にとどまらず、データやAIを活用できる仕組みを加えるかたちのモダナイゼーションを提案し、そこからVertical領域への展開を図る考えだ。加えて、Vertical領域では業界横断型の仕掛けを重視していることから、既存の顧客基盤を活用したエコシステムの構築も推進するという。
大西俊介 副社長
大西俊介執行役員副社長CROコンサルティング担当は「Verticalの世界で『これはかっこいいよね』という、そういった(ソリューションの)ボリュームを増やしていく」と述べ、顧客に価値が伝わるユースケースの創出に取り組む姿勢を示した。
(藤岡 堯)