日本オラクルは7月8日、2026会計年度の事業戦略説明会を開き、基幹システムのクラウド移行に関するナレッジをパートナー企業に本格移転し、国内企業のモダナイゼーションをさらに加速させる意向を示した。AI活用にはデータの基盤となる基幹システムのクラウドシフトがより重要になるとみて、パートナーとの協業で全国に展開する狙いだ。三澤智光社長は「われわれだけでは全てのお客様をサポートできない。同じ考え方を持つパートナーを増やす必要がある」と語った。
(藤岡 堯)
三澤智光 社長
これまで日本オラクルでは「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)を利用した基幹システムのモダナイゼーションを多数手掛け、OCIによるクラウド移行の有用性を市場にアピールしてきた。ただ、事例の多くは自社が主体となって展開したもので、さらなる波及に向けてはパートナーが案件を主導できる体制の構築が課題となっている。
パートナーに対しては、案件創出に必要な営業ノウハウ、製品知識の習得から、プリセールス、プロジェクト計画のメソッド展開、オラクルコンサルティングによる構築・運用段階でのサポートなど、エンドツーエンドで後押しする。
三澤社長は、オンプレミスで稼働する基幹システムの多くが「Oracle Database」を利用しているとし、「そのお客様を次の世代にナビゲートをするのはわれわれの責務」だと強調。パートナーと共にモダナイゼーションを推進していく姿勢を明確にした。
パートナー支援を急ぐ背景として、三澤社長はAI時代の到来を挙げる。AIの効果的な利用にはデータ基盤の整備が不可欠だとし、「本当のAI時代に向けて『AIデータプラットフォーム』をしっかり根付かせる方向に向かわなければならない」と話した。
AIデータプラットフォームの中核となる「Autonomous Database」に関しては、マルチモーダル対応、コンテキスト学習、トランザクションの大量処理といった強みを前面に、市場での存在感を高めたい考えだ。SaaS型基幹業務アプリケーションの「Fusion Cloud」「NetSuite」でもAI機能の訴求を進める。ERPやSCMなど複数分野のデータを統一されたデータモデルで管理する「シングルデータモデル」の優位性を生かし、コンテキストを理解したAIエージェントを複雑なビジネスプロセスへ適用できる点をアピールする。
JOC稼働でソブリン対応充実
8日には、ソブリン向けクラウド基盤「Oracle Alloy」の運用・保守を担う「ジャパン・オペレーション・センター」(JOC)の稼働が発表された。Alloyのパートナーに対して、日本在住のメンバーが24時間365日の体制でサポートを提供する。
Alloyを活用したソブリンクラウドサービスは、現状で野村総合研究所、富士通、NTTデータが展開・準備しており、JOCを通じてこれらのパートナーのビジネス拡大に寄与する。
公共関連では、三澤社長はガバメントクラウドについても言及し、現時点の見通しで、25年度末までにOCIを採用する自治体が500を超えるとした。