日本テラデータは7月30日に記者会見を開き、オンプレミス環境でAIをすぐに利用できるソリューション「Teradata AI Factory」の提供を始めたと発表した。ユーザーはデータを自社内に保持したままAIを活用できるため、製造業における製品開発や、金融・保険分野での査定自動化など、機密性の高い情報が必要な業務をAIに任せられるようになる。

　米NVIDIA（エヌビディア）と共同開発したハードウェアとソフトウェアをセットにしたきょう体をレンタル形式で提供する。Database Engineの最新バージョン20を搭載するほか、ベクトルデータベース機能「Enterprise Vector Store」により検索拡張生成（RAG）を利用できる。カスタマイズしたエージェント型AIの活用を可能にする「AI Workbench」も統合した。

　「NVIDIA AI Enterprise」と連携して動作し、データ取得や活用に必要な機能をあらかじめ用意することでオンプレミス環境を構築する。
 
　また、コスト最適化と業務に合ったAIエージェント運用のため、大規模言語モデル（LLM）と業務特化型の小規模言語モデル（SLM）を併用する点も特徴。技術営業本部AI技術営業室の八田秦史・室長は「LLMはパラメーター数が多く汎用的に使えるが、コストが高く、レスポンスが遅くなり、ハルシネーションが起きる場合がある。一方、SLMは特定分野に特化することでコスト効率が高く、ハルシネーションも抑えられる。この二つを組み合わせて相乗効果を生む」と説明した。

　クラウドサービスのような従量課金型とは異なり、コスト予測がしやすい点も強みとなる。

　導入決定から本番運用まで迅速に移行できるよう、コンサルティング部門「AIインテグレーション＆デリバリーチーム」を新設した。これまで同社が手掛けてきた1000件以上のユースケースを金融・保険、製造業・インフラ、通信・ITサービス、医療・ヘルスケア、政府・公共セクターなど業種ごとに体系化し、AIやデータ活用の戦略立案から運用まで支援する。
（南雲亮平）