伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)やNTTデータグループなど5社と日本NPOセンターは8月5日、NPOのDXを支援する「NPTechイニシアティブ」の一環としてフォーラムを開いた。今年初めに行ったIT活用の実態調査結果を報告し、非営利団体での生成AI活用への期待が高まっているとして、2025年度事業計画ではその普及と活用を推進すると表明した。
NPTechイニシアティブは、NPO職員のデジタルスキル向上に特化したプログラムを無償で提供する取り組みで、23年9月から研修を始めた。24年度はITリテラシー入門やセキュリティーの基礎といったテーマでオンライン研修を開催し、2年間で285の非営利団体(実数)の職員が受講した。現在NPTechイニシアティブに参加する企業・団体はCTCとNTTデータグループのほか、米Dell Technologies(デル・テクノロジーズ)日本法人、米Intel(インテル)日本法人、LINEヤフー、国立女性教育会館で、主催は日本NPOセンター。
IT活用の実態と課題を把握するため非営利団体に実施したアンケートでは、IT人材が不足しているとの回答は約9割だった。約8割が生成AIを今後活用したいと回答したが、「データの正確性や技術的な理解・ノウハウの不足など懸念がある」と答えた団体は9割を超えた。人材や資金が限られる中での業務効率化は必須だとして、今年度は生成AIの普及を特に後押しする方針だ。
フォーラムでの各参加企業などによるクロストークの様子
(提供:伊藤忠テクノソリューションズ)
日本NPOセンターの上田英司・事務局次長によれば、事前にセンターから講師側にニーズを伝えるなどして、NPOにとって実用的な研修内容にするための工夫を重ねている。システム発注についての講座を受講した参加者からは「『分からない』と思いIT事業者に丸投げをしていたことが、今まで思ったようなシステムにならなかった原因だと分かった。今後は発注前の業務整理など気づいたことを実行していく」といった反応が寄せられたという。
CTCの渡邊香織・サステナビリティ推進本部長代行兼サステナビリティ推進部長は取材に、「例えば、AIの話もプロが事例をもとに非常に平易な言葉で説明したり、団体の規模に合わせたマシンの適切なスペックを助言したりと、研修ごとに興味深い内容になっている」と話し、各参加企業の専門性を活かした協働の手応えを表現した。(下澤 悠)