独SUSE(スーゼ)の日本法人であるSUSEソフトウエアソリューションズジャパンは9月18日、事業戦略に関する説明会を開き、独本社のダーク-ピーター・ヴァン・ルーウェンCEOは、ベンダーへの依存度が低いというOSSの大きな特徴を生かし、国内の顧客にベンダーにとらわれない選択肢を示すことで、市場でのプレゼンスを高める方針を示した。
独SUSEのダーク-ピーター・ヴァン・ルーウェンCEO
スーゼは商用Linuxディストリビューションの老舗で、近年はKubernetesプラットフォームによるコンテナ運用、エッジ向けソリューション、AI開発基盤など、幅広い領域で事業を展開している。他社Linuxのサポートも手掛けており、複数のLinux環境を一元的に管理・運用できるほか、保守期限が終了したバージョンにも対応し、移行コストや手間の削減にも貢献している。
ルーウェンCEOは企業のIT環境における課題として、米Broadcom(ブロードコム)による米VMware(ヴイエムウェア)買収や、米Red Hat(レッドハット)が米IBM(アイビーエム)傘下となったことを引き合いに「ベンダーロックインやコスト増加の問題が生じている」と説明。その上でスーゼは「オープンソースの無限の可能性を企業にもたらす」をビジョンとしており、顧客にベンダーに依らない選択肢を提供できる点に強みがあるとした。
実際、スーゼが他社Linuxのサポートを担っているドイツ銀行では、数万台のサーバーで構成されるレガシーシステムを、アップグレードなどを行うことなく運用し、リソースをクラウドへの投資や新規システム開発に集中できているという。
ルーウェンCEOは「われわれはお客様の選択肢を取り戻し、オルタナティブな存在としてイノベーションを支援する」と話した。
SUSEソフトウエアソリューションズジャパン
の
渡辺元・カントリーマネージャー
続いて、日本法人の渡辺元・カントリーマネージャーが国内戦略を紹介し、Kubernetes運用の簡素化やVMware代替ソリューションなどで、価値を打ち出していくとした。スーゼのKubernetes基盤は、競合と比較して小規模な構成で開始でき、コストが抑えられる点に特徴があるとする。仮想化基盤やAI開発基盤でもより低価格で提供できる優位性があるとした。このほか、他社Linuxのサポートについて、国内メガバンクが採用の意思を示しているという。
渡辺カントリーマネージャーは「お客様の課題に対して、適切なパートナーと一緒にアプローチしていきたい」と国内展開への意気込みを示した。(藤岡 堯)