CAC Holdings(CAC-HD)グループで新規事業を担うCAC identityは、▽IT系スタートアップ▽合弁事業やM&A▽海外商材の仕入れ販売―の三つを柱として、2030年をめどに売上高100億円を目指す。IT系スタートアップでは、主にグループ社内から募った新規事業22件がすでに進行中で、企業や団体との協業も50件余りに達している。既存事業の延長線上ではない事業領域にも積極的に進出し、「グループ全体の事業多角化や合弁事業、M&Aのきっかけにしていく」(中西英介社長)と話す。
中西英介 社長
IT系スタートアップでは、例えば画像認識やデータ分析の技術を応用して、養殖魚の資産価値を算定し、養殖魚という“動産”を担保として金融機関の融資審査に役立ててもらうサービス「FairLenz」が挙げられる。25年1月に長崎県で設立した事業会社を通じて、実際に養殖場を運営してノウハウを取得するとともに、養殖業者や金融機関のニーズを探る取り組みを行っている。
今後、FairLenzを全国展開するに際しては「水産会社との合弁事業化など、さまざまな可能性を追求していく」(同)考え。
ほかにも音声感情解析AIエンジンを応用して、3Dゲームキャラクターの口パクや表情を自動生成する「DeepEmo」や、表情認識AIエンジンを駆使して就職活動の面接対策や営業マンの表情づくりの訓練に応用できる「カチメン!」など、22件の新規事業が進行している。
同社では新規事業の成功確率を10%程度と見積もり、「数社を新規株式上場できるレベルまでもっていく」(同)との目標を設定。事業担当者は一部出資やストックオプションなどで成功規模に応じて十分な報酬を得られる仕組みも整備していく。
30年をめどにIT系スタートアップの売上高合計で20億円、IT系スタートアップで接点を持った事業会社との合弁事業やM&A、海外商材の国内販売などで80億円の売り上げを想定している。CAC-HDは25年7月にベトナム大手IT会社FPTグループとの合弁会社設立に向けて基本合意を交わしており、この合弁事業を通じてベトナム市場への進出や、FPTグループが持つ商材の国内販売など新規事業の領域を中心にCAC identityが関わっていくことも検討している。
CAC identityは、中核事業会社のシーエーシーなどが展開してきた新規事業を引き継ぎ、25年7月1日付で設立。生成AIの急速な技術進歩がITスタートアップの立ち上げに追い風になっているとの判断で、CAC-HDグループ発の新規事業の育成を専門的に担っている。
(安藤章司)