富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)は、生成AIによる取引先帳票の処理効率化サービスを9月24日に始めた。業務を可視化するワークスペース「FUJIFILM IWpro」の追加機能で、取引先の書式で送られてくることが多い注文書や請求書などを生成AIが正しく認識し、販売や会計などの業務システムに受け渡し可能な構造化データへ変換する。「手作業で入力するのに比べて8割以上の工数削減が見込める」(友國恒介・マーケティング部ソリューション企画グループ企画2グループ長)としている。
友國恒介・企画2グループ長(左)と福重彰徳・マネジャー
注文書や納品書、請求書などの書式が取引先各社ごとに差異があり、何がどこに記載されているかを従来のAI-OCRでは正しく判別できない部分があった。今回IWproに実装した読み取りエンジンは、文脈認識や構造化データへの変換に優れた富士フイルムBIのAI技術ブランド「REiLI(レイリ)」の一つとして開発したもので、帳票全体の文脈を認識し、記載内容の意味を読み解けるようになった。
IWproの利用シーンは受発注業務の割合が比較的多く、「受注書を受領したのち、在庫の引き当て、配送手配、売り上げ計上など他部門や各種業務システムと連携する際の“作業台”としてIWproを活用するケースが多い」(福重彰徳・ソリューション企画グループマネジャー)ことから、各種書式を自動で構造化データに変換するサービス開発に至った。
2023年11月のIWpro発売以来、順調に利用社数を増やしており、中堅・中小企業を中心に直近では5000社余りに活用されている。IWproと連携する業務アプリも30種類ほどに増えた。今後も機能追加や連携アプリの拡充を進め、27年度までに利用社数を1万社とする目標を掲げている。
(安藤章司)