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セゾンテクノロジー、自治体保有データと生成AIを活用して政策企画の評価実証

2025/11/06 14:33

 セゾンテクノロジーは11月5日、目黒区の全面協力と地方公共団体情報システム機構(J-LIS)の支援のもと、地方自治体が保有するさまざまなデータを連携し、生成AIを活用して政策の企画を評価・分析する実証実験を共同で実施したことを発表した。

 この実証実験によって、自治体データと生成AIを活用した政策企画に関するインサイト(示唆)をプロンプトの指示からわずか数分程度で得ることができ、これまでの人手に依存したデータの分析と評価に代わり、今後、地方自治体で根拠に基づく政策立案(EBPM)が推進できることが実証された。

 地方自治体で、地域住民の意思や地域の課題解決、住民生活の向上を目的とした公共サービスを提供・管理運営するためには、各々の自治体が保有するデータを活用した、根拠(エビデンス)に基づく施策の評価が重要となる。しかし、多くの地方自治体では、日々の多忙な業務や専任担当者の不在、また、限られた予算執行のなかで保有する膨大なデータを活用した政策企画の評価がしきれていないのが現状となっている。

 こうした課題を解決するため、セゾンテクノロジーは、目黒区の全面協力とJ-LISの支援のもと、自治体が保有するさまざまななデータを連携し、それらを生成AIに取り込んで分析、傾向の抽出などのインサイトから施策の評価を行う実証実験を実施した。

 実証実験では、目黒区が保有するオープンデータを中心とした施設に関する利用状況やコストなどのデータ提供を受け、「区有資産の有効活用」をテーマに生成AIを用いて区の施設が有効活用されているかどうかや、「事業の大幅な見直しが必要である」という前提を設定したうえで、生成AIによるデータ分析でそれらが棄却できるかなどを検証した。

 セゾンテクノロジーは、複数のデータソースの連携にiPaaSである「HULFT Square」を活用し、自治体のデータを分析目的に沿って動的に抽出・集計したうえでクローズド環境の生成AIと連携して、データから読み取れる変動や関連性を言語化する仕組みを開発・構築。また、今後本番データを利用することも想定し、個人情報を含むさまざまな自治体が保有するデータを安全に連携、活用するための知見の提供もJ-LISから受けている。

 目黒区は、日々の業務で培った幅広い知見を生かし、生成AIがアウトプットする施策評価の妥当性や有効性のフィードバックを行うことで、データ処理とインサイトレポートの改善や、自治体業務に合った表現の見直し向上を行った。

 この実証実験を通じ、自治体で保有しているさまざまなデータの連携と生成AIの活用によって、自治体の施策評価の業務において有用であることが確認できた。

 なお、今回の実証実験は目黒区と複数の他自治体とも実施しており、同様の評価が実証されている。今回はセゾンテクノロジー環境下での検証となったが、今後、セゾンテクノロジーは、自治体が共同で利用するセキュアなデータベースとHULFT Squareなどと組み合わせることで、複数の自治体が共同利用可能な生成AIソリューションの構築を目指していく。
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外部リンク

セゾンテクノロジー=https://www.saison-technology.com/

目黒区=https://www.city.meguro.tokyo.jp/

地方公共団体情報システム機構=https://www.j-lis.go.jp/

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