日本IBMは11月25日、米国開催の「IBM TechXchange 2025」で発表したAI関連のパートナーシップや機能強化に関する記者勉強会を開いた。自社以外のAI技術も組み合わせながら、企業におけるITとビジネスの変革につなげていくとした。
米Anthropic(アンソロピック)との協業に関しては、AIエージェント主導で開発を一気通貫で支援するシステム「IBM Project Bob」に「Claude」を標準搭載する。安全でガバナンスの行き届いたAI基盤を提供し、開発生産性を向上できるとしている。
エージェント型AIについては、ほとんどの企業は導入による利益を得ていないとし、正確性と処理速度の両立や統制が課題になっていると指摘。米Groq(グロック)との連携と「IBM watsonx Orchestrate」の機能拡張などでビジネス価値を生み出すことにつなげる方針だ。
具体的には、watsonx Orchestrateで推論に強いグロックのLPU(Language Processing Unit)を利用し、パフォーマンスとレイテンシーで最大5倍の改善を実現する。加えて、watsonx Orchestrateに対して、AIガバナンスを担う「IBM watsonx.governance」の本番導入前評価や本番運用モニタリングなどの機能、ローコードで柔軟にAIフローを作成可能な「Langflow」を統合した。企業の実運用に必要なガバナンス機能提供が可能になるという。
菱沼章太朗 技術理事
テクノロジー事業本部ソフトウェア・テクニカルセールス事業部の菱沼章太朗・技術理事は、「IT変革のためのAIについては、効果測定が可能な範囲から徐々に広げていくアプローチが必要で、Project Bobが活用できる。また、ビジネス価値につながるよう今回の新技術により一層AI活用の範囲を拡大していきたい」と話した。
(下澤 悠)