日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ(日本TCS)が、AIを活用した事業変革支援を加速させている。3月12日の報道向け事業説明会で、専務執行役員の森誠一郎・グロース&トランスフォーメーション事業統括本部長は、「グローバルでは4兆円規模の売り上げだが、日本は1000億円未満の成長市場」と述べ、AI活用の推進に注力する方針を示した。
森 誠一郎 専務
日本企業がAIに期待するのは労働生産性の向上と、深刻な人手不足への対応だ。ただ、AI活用については「多くの企業で業績に寄与する具体的な成果が出せず、活用の方向性に苦慮している状況だ」と森専務は指摘する。背景には、AI人材の不足などによる「効果的な使い方が分からない」といった課題や、コスト・セキュリティーへの懸念がある。また、Visual BasicやCOBOLなどを使ったレガシーシステムの存在もAI導入のハードルとなっている。
日本TCSは四つの解決策を挙げる。第1はモダナイゼーションの推進で、基盤そのものをAI活用に最適化していく。第2に定年退職などで失われる可能性のある製造現場の暗黙知をAIにより形式化し、若手でも再現できる仕組みをつくる。第3はクラウドとデータの整備。従来はサービスだけを提供していたが、グループ各社やパートナーと連携し、半導体からデータセンター、クラウド・データ基盤、AIプラットフォーム、アプリケーションまで一貫してカバーする体制を構築する。第4にパッケージソフトウェアをAIに適したかたちにカスタマイズする。
日本TCSの強みは、グローバルで蓄積したノウハウと、エンジニア層の厚さだ。森専務は「グループ内にAIエンジニアが約18万人いる」と紹介。従来はコンサルタントやアナリストが要件定義書や設計書を作成し、デベロッパーがコーディングやテストを行っていたが、この部分は生成AIが担うようになる。今後のAIエンジニアに求められるのは、「AIに要件を与えられるスキルとオペレーションを含むフルスタックの知識だ」と述べた。
(南雲亮平)