米Dynatrace(ダイナトレース)日本法人は6月10日、記者説明会を開き、2026年の事業戦略を説明した。同社のオブザーバビリティー(可観測性)基盤を活用して、人間を中心とした既存顧客のIT運用を、障害の検知や原因特定、解決策の立案までをAIが担う「AI駆動型自動化」へと移行させる方針だ。並行して、パートナーエコシステムの拡大による製品の提供体制の強化も進める。
戦略の中核には、1月にグローバルで発表したAIエージェント製品の「Dynatrace Intelligence」を据える。問題の特定や分析、外部システムとの連携など、役割ごとに特化したAIエージェント群が一体で動く点を強みとする。長期的には、最終的な判断にのみ人間が関与し、障害復旧までAIが実行する「監督付き自律型運用」へと顧客を導けるようサポートする。
販売戦略では、既存の注力領域である金融や製造、デジタルエンターテインメントに対して、AI駆動型自動化によるIT運用をさらに改善させる。また、業界ごとの案件を事例化して、横展開も目指す。新規顧客の開拓に関しては、旅客や運輸、流通、小売り、エネルギーといった業界を狙う。
パートナーとの連携も強化する。技術面ではITSMを提供するベンダーと連携して顧客のIT運用を高度化するほか、ハイパースケーラーとの協業を深めて顧客開拓の足掛かりとする。販売面ではコンサルティングから実装までを一貫して支援する体制の構築や、顧客に対するサポート体制の充実に取り組む。
徳永信二 社長
AIを活用したIT運用の支援に関して、徳永信二社長は「(パートナーとの連携では)まだまだこれからの段階。エンドユーザーの危機感のほうが先行している。当社と顧客で定めた方針にのっとってパートナーが導入や運用を担うケースがほとんど」との認識を示した。その上で「グローバルパートナーとは海外の先進的な事例を活用しながら国内でも展開しようという機運があり、実際にビジネスに結びついている。国内のパートナーとも当社が一緒になって顧客と向き合い、同じゴールを目指せるようにしたい。良いかたちでトレーニングを提供し、パートナーがインプリメンテーションを主導できる枠組みをつくりたい」と意気込んだ。
25年度のビジネスについて、徳永社長は「国内市場ではグローバルで見ても突出した規模の案件を獲得でき、大きく成長できた」と評価した。具体的な数字は非公表としたが、年間経常収益(ARR)が前年度比90%増と「ほぼ倍になった」という。国内パートナーの獲得も進んでいるとし、直近ではアイルランドAccenture(アクセンチュア)日本法人やベイカレントといった企業との連携を開始した。
(大畑直悠)