SmartHRは7月7日、東京都内で事業戦略発表会を開き、芹澤雅人CEOは、目標として掲げる「2030年に売上高1000億円」の実現に向け、主力のバックオフィスシステム「SmartHR」へのAIエージェント機能実装をはじめとした製品強化を図るとともに、ITコンサルティングや情報システム部門の支援、BPO事業に本格参入する方針を示した。プロダクト戦略とM&Aなどの投資を組み合わせ、成長を加速させる構えだ。
(南雲亮平)
芹澤雅人 CEO
同社は創業以来、バックオフィスを支援するSaaS事業を展開してきたが、芹澤CEOは「日本の働く現場には、まだ非効率が多く残っている」として解消を目指し、事業の拡大を推進している。
この1年間でも、ITコンサルティング、情シス部門を主軸としたBPO、クラウドシフト管理の各領域で3件のM&Aを実施し、事業基盤を強化してきた。プロダクトの強化も並行して進めており、直近のSmartHR事業における年間経常収益(ARR)は300億円に到達。目標の実現に向けて着実に歩みを進めている。
今後の成長戦略の柱となるのがAIエージェントだ。二つのプロダクト展開を予定しており、一つは給与明細の確認やシフト調整の相談など、従業員が必要な情報へ迅速にアクセスできる「従業員向けAIエージェント」。もう一つは、SmartHR内の定型業務や各種設定作業を自律的に実行する「バックオフィス向けAIエージェント」だ。
これにより担当者は、定常業務の負担を軽減し、より付加価値の高い業務へ注力できるようになるという。
また、人口減少や、人材流動化の進展といった社会構造の変化を踏まえ、データに基づく人的資本経営の実践を支援するソリューションとして「他社比較データ」と「AI HRBP(仮称)」を展開する方針だ。
他社比較データは、SmartHRに登録されているデータのうち、許諾を得たユーザー企業の組織データを、AIを通じて個人・個社が特定されないかたちで統計化し、業種や企業規模ごとの年収、年齢構成、組織構造などを比較できるようにしていく。
AI HRBPは、社内の人事データをもとにスキルや経験、素質を掛け合わせた複雑な条件に合致する人材を横断的に参照し、合致する人材を探索する。人材の配置や育成を高度化するほか、自社の組織や人材に関する相談に応えられるエージェントとして管理職のマネジメント業務を支える。
秘匿性の高さから取り扱いの難しい人事データの活用を推進するため、今後はシステム導入サポートにとどまらず、AIによるデータ活用のプロセスそのものを強力にバックアップしていくサービスも検討する。専門のスタッフが人事パートナーとしてサポートし、課題の特定から成果の創出まで、ツール利用を通したプロセス改善を伴走していく計画だ。M&Aを通じてこうした能力の獲得を目指す。