東京コンピュータサービス(TCS)グループ企業14社が統合して発足したマーブルは7月27日、記者会見を開き、AIによる業務変革を進める「AX推進戦略」を発表した。企画本部経営企画部AX推進室の江上慎悟・室長は、AI駆動開発を担う人材が不足している現状への対策として、生成物の品質を高めるコンテキストエンジニアリング技術と、活用を社内に普及・促進するエバンジェリストの存在が重要であるとの認識を示した。
江上慎悟 室長
同社は、具体的な施策としてAI活用・実装の中核を担うコンテキストエンジニアの育成を進めている。全社員の約8%に当たる700人の育成を6月までに完了した。主な役割は、設計・実装の主導やノウハウの横展開で、特に期待を寄せるのが他のAIエンジニアの育成だ。計画では、育成済みの人材をエバンジェリストとして活用し、2026年度中にはシステム部門の全社員約7700人を育成する。顧客からの要望などを受け、教育プログラムの外販も検討しているという。
江上室長は、従来の開発手法と比較して、AIを活用した場合は「特に効果の大きい工程では、約40%の業務効率化を見込める」と説明した。捻出した時間は、AIによる代替が難しい要件定義や設計などの上流工程、顧客との対話といった高付加価値領域へ振り向ける方針だ。
また、55年以上の実績で培ったSI現場のノウハウを、AIが参照可能な「コンテキストファイル」として資産化することで、属人性を排した再現性の高い開発体制を構築し、品質とスピードの両立を図る。
パートナー戦略では、協力会社とともに生成AIに関する学習や、生成AIの活用方法を模索できる体制の構築を重視する。AIによる処理能力の向上によって対応可能な案件数を増やし、業界全体の課題である人材不足への対応につなげる考えだ。(南雲亮平)