ブレインパッドは8月31日、自律走行ロボットとAIを組み合わせて商品棚の欠品を検知する「売場巡回AI」(仮称)のPoC(概念実証)パートナー募集を開始した。同日、開催した記者説明会では、プロジェクトの概要と事前に実施した実証実験の結果を発表した。流通・小売事業部の東建志・アナリティクスコンサルティングユニット統括は、「データ活用により店舗全体の効率化を推進し、現場の課題解決につなげたい」と語った。
東建志・アナリティクスコンサルティングユニット統括
売場巡回AIは、ロボットが売場を巡回しながら棚を撮影し、AIが画像を解析して欠品を検知するサービス。従来、人の目に頼っていた棚の確認作業を自動化し、店舗運営の効率化を支援する。実証実験では、ugoの点検ロボット「ugo mini」を活用し、走行から商品判定までの一連の工程を検証した。東統括は、「121商品のうち107商品の検知に成功し、約88%の精度を達成した」と説明した。
実証実験の様子
また、実店舗での運用に向けた主な検証項目として、▽効率的な巡回・撮影スキームの確立▽実運用を踏まえた判定ロジックの設計▽商品マスター運用プロセスの省力化▽店舗の補充オペレーションへの組み込み─の4点を挙げた。
実証実験の結果を踏まえ、PoCでは実店舗か、それに準じる環境を提供するパートナーと共同で、実運用に向けた設計から改善検証までを進める。また、欠品検知機能だけでは投資対効果の確保が難しいことから、棚卸しや価格変更確認、警備などの機能を組み合わせた活用も検証する。総合スーパーやドラッグストア、ホームセンターなど、異なる業態の複数企業での実施を目指している。
売場巡回AIの開発背景には、小売現場の深刻な人手不足がある。東統括は、「広い店舗を少人数で運営する現場では棚確認の負担が大きく、機会損失につながる欠品が放置されるケースが少なくない」と指摘した。その課題解決に向け、既存設備をそのまま活用でき、小回りの利くロボットを用いたソリューションを考案したという。ブレインパッドは本事業を、将来のフィジカルAI実現に向けた前段となる「領域特化型AI」から一歩進んだ取り組みに位置付けている。
今後は、欠品検知の結果に在庫状況や販売動向のデータを組み合わせ、補充の優先順位を提示する機能などの追加を予定する。さらに、店舗の売上データに加え、天候やSNSなどの外部データを活用して必要なアクションを提案する「店長支援AIエージェント」との連携も視野に入れ、サービス化を検討していく。(南雲亮平)