富士フイルムビジネスイノベーションは10月5日、A3カラー複合機の新製品「Apeos C7072シリーズ」を発表した。発売は29日。クラウドサービス「Apeos Cloud Extension」を複合機とワンパッケージで提供し、設置後すぐに、複雑な設定なしで紙文書の電子化やOCRを使い始められるようにした。取り込んだ文書をAIで構造化し、業務システムへつなぐソリューションとする計画で、中堅・中小企業にとってハードルが高いAI活用の第一歩を後押しする。同社は新製品を起点にIT・AIソリューション事業の拡大を狙う構えだ。
同社はこれまでも「FUJIFILM IWpro」など複合機と連携するクラウドサービスを用意してきたが、複合機側の設定が必要であるなど、円滑な導入には課題があった。新製品では、パネル操作だけでアクティベートが完了し、利用者認証などなしにスキャン文書やファクスデータを保存できる。OCRで日付や文書タイトルを抽出してファイル名を自動で付けたり、日付別フォルダに自動で仕分けたりといった基本機能は無料で利用できる。
オプションでは、複数拠点の複合機で文書を共有できる「共用ボックス」や、生成AIを活用したOCRにより、請求書や注文書などから情報を抽出し、CSV形式などの構造化データに変換する機能を提供する。2026年度中をめどに、APIやMCPを通じてIWproや外部ソリューションで構造化したデータを活用できるようにする。デモでは、取り込んだ注文書のデータをAIがMCP経由で在庫管理システムと照合し、欠品の有無を表示する例を紹介した。
最上位モデルの「Apeos C7072」を囲む
鍋田敏之CTO(右)と山田竜一取締役
同日の会見で、取締役常務執行役員の鍋田敏之CTOは「従来は複合機、ドキュメント管理、AI活用(のソリューション)は連携しながらも別々に考えられ、設計されていた」と指摘。その上で「今回の製品では、複合機から取り込んだ情報を認識・構造化して、『AIレディ』な状態でクラウドに保存するまでを一連の流れとして支援する」と強調した。中堅・中小企業においては企業全体で経営や業務判断にAIを生かす取り組みは広まっていないとの見方を示し、シンプルな操作でAI活用への入り口を構築できる新製品を起点に、同社ソリューションやSIビジネスの伸長につなげたい考えだ。
販売目標について、取締役執行役員の山田竜一・デバイステクノロジー事業本部副本部長は「単に販売台数を追うのではなく、その先のApeos Cloud Extensionの利用拡大や、ソリューションの導入につなげていくことを目標としている」と説明した。
AIが利用状況を学習してスリープへの移行時間を自動で最適化する「AIおまかせ節電」を搭載したほか、AIによる異音検知などで保守作業を効率化し、移動による二酸化炭素の削減にもつなげる。再生プラスチックをプラスチック全体の重量比で50%使用するなど、資源循環にも配慮した。
(藤岡 堯)