WORLD TREND WATCH

<WORLD TREND WATCH>第114回 サーバー世界市場も失速

2002/07/22 16:04

週刊BCN 2002年07月22日vol.950掲載

 調査会社IDCによると、02年1-3月期世界パソコン出荷台数は、減少していた前年同期よりもさらに2.7%減の3135万台であった。01年からの世界的パソコン出荷低迷に続き、サーバー市場にもハイテクデフレの影響が強く出てきた。IDCは、02年1-3月期世界の全サーバー出荷台数は前年同期比でほぼ横這いの105万台であったが、出荷金額では前年の134億ドルから20.1%減少し107億ドルになったと発表した。

出荷額は前年同期比24.2%減

 サーバーはパソコンに比べ単価が高いため、価格デフレの影響度が大きい。とくにサーバーでも単価がインテルサーバーの約10倍のUNIXサーバーの価格破壊が激しく、台数は微増したにもかかわらず、出荷金額は前年同期の62億ドルから24.2%減って47億ドルまで下がった。

 UNIXサーバーでもIBMのレガッタ、サンのスターキャットなど単価が大型メインフレーム並みの高額大型サーバーは世界的に台数を伸ばしているが、とくに、ローエンドUNIXサーバーの価格破壊が激しい。ローエンドUNIXは最近勢力を伸ばしているLinuxベースのインテルサーバーとの競合激化のため、出荷単価の目減りがひどい。OSカーネルのライセンス料がないLinuxインテルサーバーは、ローエンドUNIXサーバーの価格を劇的に低下させてしまう。ローエンドUNIXサーバーでシェアが高いサンは、このローエンドの価格破壊の直撃を受けている。このため同期サン売上高は前年比でUNIXサーバー出荷金額減少同等の24.1%減少した。

 サーバーの出荷金額を別の観点から懸念するのは、既に全売上高の40%をITサービスが占めるIBMグローバルサービス部門ダグラス・エリックス上級副社長で、次のように語った。「サーバーやストレージのハード上で展開するユーザーソリューション構築ビジネスのITサービス価格は、その基盤のハードの価格によって決まる傾向が強い。サーバーの価格が低ければ、ユーザーはITサービス料金も安くなると考えている。これによってハードの価格デフレはITサービス市場にも強く影響する。従ってIBMサービスの売上高を維持するために、IBMは1グレード高いサーバーやストレージを顧客に販売しなければならない」

 IBMのサム・パルミザーノ新CEOは02年6月、アナリスト向け説明会で世界のIT不況について次のように語った。「世界のIT産業は出口のない完全な迷路に入ってしまった。この迷路からいつ抜け出せるのか、あるいはずっと抜け出せないかは誰にもわからない。とくに米企業IT投資は大きく削減されたままで、多くのシステム案件がIBMの受注予定表から消えない。今、世界のITメーカーはこれまでの受注残にかわって、受注予定残に苦しむことになった。各調査会社はハード市場が失速してもITサービス市場だけは伸びると予測するが、これは表裏の関係にあって、サービスだけが伸びるということはあり得ない」(中野英嗣●文)

  • 1