HDDそのまま棄てないで!

<HDDそのまま棄てないで!>4. 消去したデータを復旧するソフト

2002/10/28 16:18

週刊BCN 2002年10月28日vol.963掲載

 前回は、パソコンを廃棄または譲渡する際に「データをゴミ箱に捨てる」、「削除コマンドを実行する」、「フォーマットする」という方法でHDD内のデータを消去しても、それだけでデータを完全に消したことにならない、ということをご説明した。

 上記の方法で消去しても、それは単にデータのファイル管理が変更された、つまりOSから呼び出せなくなっただけで、本来のデータはそのままHDDの中に残っている。この状態から消去したデータを復元するには、データ復旧ソフトを利用すればいい。以下は、データ復旧ソフトの一例である。

・Final Data(アルファオメガ)
・Easy Recovery(OnTrack)

 これらのデータ復旧ソフトは、誤って消してしまった大切なデータを復元したり、ウィルスに感染し破壊される前のデータに復元するなど、必要なデータを回復してHDDを救済するために開発された、とても貴重なソフトである。

例えば、うっかり「FDISK」コマンドを実行してしまったとしよう。このコマンドを実行すると、マスターブートレコードが書き換わり、FATとルートのディレクトリエントリが初期化され、その結果OSからデータが呼び出せなくなってしまう。

 しかしこの場合も、データ自体は残っているため、データが格納されているクラスタに直接アクセスして解析することによってデータを見つけ出し、復元することができる。この解析を実行するのが、データ復旧ソフトである。

 ただし、クラスタが別のデータによって上書きされてしまうと、データ自体が変わってしまうため、上書き以前のデータを復元することはできない。

 データ復旧ソフトは、決して廃棄または譲渡したパソコンに残っている個人情報を盗むために開発されたものではない。しかし、こういったソフトを利用してデータを復旧し、個人情報を悪用しようと考える人間が存在する限り、対策を考えておかねばならない。

 専用HDDデータ消去ソフト(有償)でディスク全域に固定パターンを書き込む(上書きする)か、あるいはHDDを物理的に破壊しておけば、いかに有能なデータ復元ソフトを使ってもデータを復元するのは難しいだろう。

 次回は、データ復旧ソフトを使っても情報を復元することができない消去法をいくつかご紹介しよう。
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