元気印のインテグレータ

<元気印のインテグレータ>第21回 アクセンチュア(上)

2002/11/25 16:04

週刊BCN 2002年11月25日vol.967掲載

岐阜県庁の案件を受注

 電子自治体の実現に向け、岐阜県庁は今年7月、アクセンチュアなどと包括的なアウトソーシング契約を結んだ。

 契約金額は約32億9800万円で09年までの7年契約。電子自治体の基幹に相当する文書管理、電子申請、電子調達の情報システムを委託する。

 委託料は運用委託期間である7年間にわたって毎年度同額ずつ支払い、初期投資費用の平準化を図る。

 このアウトソーシングの最大の特徴は、岐阜県は一切のハードウェアを購入せず、ソフトウェアも所有しないこと。

 電子自治体を動かすアプリケーションサービスを毎年同じ金額で購入するので、直接的にハードやソフトを購入する必要がない。その代わり、一定のサービスレベルさえ満たせば、受託者の裁量を幅広く認める。

 この案件を受託したのは、アクセンチュアとNTTコミュニケーションズ、セイノー情報サービス(西濃運輸系)の3社。

 ハードウェアなどの資産はNTTコミュニケーションズが購入した。

 アクセンチュアの大上二三雄・コーポレート・ディベロップメント担当パートナーは、「従来型の電子自治体に対する考え方は、基本的に文房具を購入するのと同じだった。業者にコンピュータ一式を納入させて、パソコンと同じような感覚で使う。一方、今回の岐阜県の選択は、電子自治体に関する“アプリケーションサービス”に対して対価を支払うという考え方」で、従来型とは一線を画す。

 アプリケーションサービスを購入するという方式では、まず事前にサービスレベルの詳細を取り決め、それに対して7年間で32億9800万円という価値を算出する。

 業者側はサービスレベルの厳守に最大の注意を払い、そのうえで契約金額を下回る運用費に抑えることで利益を出す。

 従来型との違いは、事前の協議に基づく“サービスレベル”の維持が最優先課題として位置づけられていることにある。

 これまでは、極端な例えだが、基幹となるコンピュータを1円で落札し、翌年度から随意契約で利益を回収するという方式がまかり通っていた。

 これでは、正当な金額で正当なサービスを購入できているかどうかを正確に測定することは難しい。

 次回は、アクセンチュアの次世代アウトソーシングサービスの取り組みについて解説する。(安藤章司)
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