“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>6.日本オフィス・システム(上)

2003/05/19 20:43

週刊BCN 2003年05月19日vol.990掲載

 日本オフィス・システム(NOS、尾崎嵩社長)は、今年度(2003年12月期)、増収増益を達成する見通しだ。好調の背景にあるのは、徹底した収益構造の改革である。

サービス事業で増収増益達成へ

 同社は日本IBMの販社として1982年に設立。以来、一昨年まで物販(ハードウェアとパッケージソフトなどの販売)の比率が過半数を占めていたが、昨年度(02年12月期)は、「創業以来、初めてサービス事業の比率が、物販事業を上回った」(尾崎社長)と話す。

 尾崎社長がNOS副社長に就いたのは、今から5年前の1998年。当時の売り上げ比率は、物販が77%でサービスが23%だった。これを昨年度は物販を46%にし、サービスを54%までに増やした。

 ハードウェアの比率を下げたため、総体としてのボリューム(売上高)は5年連続で縮小したものの、利益は増えるという減収増益の傾向が続いた。だが、ここへきて、この傾向が変わり始めた。

 「第1四半期(03年1-3月)は、売上高が前年同期比15%増、営業利益で同21%増と、幸先の良いスタートを切ることができた」と、年間を通じての増収増益に向けたプラスの手応えを感じる。

 第2四半期(03年4-6月)も勢いが衰えることはなく、上半期(03年1?6月)で、売上高が同10%増、営業利益で同20%増を達成できるめどがついた。下半期についても着実に手応えを得ているという。

 案件あたりの総額が5000万円以上で、かつ保守などストック型ビジネスを除いたいわゆる大口で新規に獲得した受注額で、早い段階から前年同期(同様の条件)と同等額に達しつつある。5月時点の達成率は、第3四半期で98.6%、第4四半期で79%になった。通常よりも大幅に早いペースで進んでいる。

 「今の勢いを維持すれば、年間を通じて増収増益に転換することができる」と見通す。

 増収増益路線への転換を可能としたのは、物販事業よりも、ソフト開発やシステム構築、アウトソーシングなど、サービス事業を拡充したからである。

 具体的には、97年当時は6人しかいなかった開発要員を大幅に増やし、開発能力および統合基幹業務システム(ERP)やLinuxなどの最先端システムの受注・構築能力を高めた。業務改革(BPR)やビジネスプロセスアウトソーシングの受注にも実績を上げている。(安藤章司)
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