大遊泳時代

<大遊泳時代>第18回 オレオレとテレビドアホン

2004/05/03 16:18

週刊BCN 2004年05月03日vol.1038掲載

松下電器産業

 日曜日の夜、ドアホンの音に出ると「オレオレ」の声。「どなたさまですか?」に「オレオレ」の返事。てっきり我が家にも「オレオレ詐欺」が。しかも電話ではなくてドアホンでやってきたかと思うと、なんと我が愛息の久方振りのご帰還であった。電話の場合、距離感と時間を超越しているから錯覚が深くなる。ドアホンでも、子供は姿、服装、声が成長し、親は眼、耳が老化するから認証のズレが起こる。その上、ATMのバリアフリーで年寄りでも簡単に送金できるし、門も親心でスグ開錠してしまう。親も昔ながらに「たまの便りは何かある」、疑う前に「まあよく帰ってきた、おはいり」の親心がいけない。

 そこへ最近の社会のモラルハザード。親・年寄りも再生機構とみられているかもしれない。しかしこんなことが許されてはならない。特に、押入り強盗の撃退にはなんといってもテレビドアホンがお勧めである。そのドアホンも昭和26年、松下幸之助がアメリカ視察時に、これは役立つ、日本でも普及するぞといって開発販売したのが始まりだ。病院用、学校用に始まり、家庭用ドアホンで大発展した。その根本は「相互通話機能」が重宝されたのである。

 その後、HA時代となり、機器コントロールやセキュリティ機能が加わり、さらに集合住宅での外部とのネット接続による情報ステーションとしてのニーズが増大した。余談だが我が家では、40年前、大阪で最初にTVカメラ付インターホンを門に取り付けた。ピンポンと鳴って画面を見ると、来客が門の前でズボンのベルトをあげたり、上品な人が門よりキョロキョロ覗く様を見た。親から、他人の振りみて我が振り直せと教育されたものだった。ワトソン君!!「インターホンのようなローテク製品を馬鹿にしてはいけないね」──。答えていわく「ハイテク・ローテクではなくハイニーズ、ローニーズで分けなくては?」
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