“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>71.インフォコム

2004/09/27 20:43

週刊BCN 2004年09月27日vol.1057掲載

 インフォコム(沼惇社長)は、中堅企業向けのERP(統合基幹業務システム)関連サービスビジネスを強化する。SAPなど大手ERPベンダーが相次いで中堅企業市場をターゲットとしたERP商材の拡充を進めているなか、「関連サービスに対する需要が急速に拡大している」(青木昭義・エンタープライズ本部ERP部ERP第二グループ課長)として、同分野における業務運用やシステム保守などのサービスビジネスの強化に乗り出す。

中堅企業でERP関連需要つかむ

 これまでSAPなどの大手ベンダーのERP製品を導入する企業は、情報システム部門の人員や設備が充実している大手企業が中心だった。このため「コンサルティングや導入に比重を置いたビジネス展開でも十分に対応できた」(同)という。だが、ここへきてSAPなど大手ERPベンダーが相次いで中堅企業に販売対象を広げており、「中堅企業から関連する業務運用やシステム保守をアウトソーシングしたいという需要が急速に高まってきた」(同)と分析する。

 インフォコムは、自社のデータセンターを活用するなどして、従来からアウトソーシングなどのサービスビジネスに力を入れてきた。このノウハウを中堅企業向けERP納入に関連するサービスビジネスに応用する。まず手始めとして9月1日から「フルコミットメントサービス」の名称でSAPの人事・給与モジュールに関する導入作業および業務運用、システム保守などの全工程をアウトソーシングで受注するサービスを始めた。

 SAPの人事・給与モジュールのフルコミットメントサービスの参考価格は、2000人規模の中堅企業向けの場合、SAPライセンス費用込みで初期導入費用が約7500万円、業務運用・システム保守などサービス費用が月額約300万円。中堅企業が自社で新たにシステム保守人員を投入するより「割安な料金体系」(同)に設定したという。一過性のERP導入サービスとは異なり、月額で安定した収益が得られることから「安定経営に向けた収益基盤の強化」(同)にも結びつく。

 現段階ではSAPの人事・給与モジュールだけに対応しているが、今年度中(05年3月期)にはSAPの財務会計モジュールにも対応する。来年度(06年3月期)には、SAPの全モジュールおよびピープルソフトのERP製品、インフォテックの子会社であるインフォベックが開発したERP製品「グランディット」に対応したフルコミットメントサービスを始める。来年度末までに5社以上からの受注を見込む。(安藤章司)
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