大遊泳時代

<大遊泳時代>第64回 カラ残業とカラオケ文化産業論

2005/04/11 16:18

週刊BCN 2005年04月11日vol.1084掲載

松下電器産業 役員 前川洋一郎

 「カラオケ」は単に唄うことだけでなく、コンテンツ、ハード、システム、ネットワーク、サービスと大きなバリューチェーンであり、しかも文化産業である。

 最近、「カラ残業」という言葉をよく見かける。てっきり、「残業時間に疲れを癒すために、近くのカラオケボックスに行って残業食代わりのスナックとカラオケ」かと思っていた。なかには、深夜残業で、ボックス内で仮眠する者もいることだろう。

 うまく労使の残業制度が世の中のシステムと融合してよいことと感心していたが、思い違いも甚だしい。

「空になったオーケストラボックス」が「カラオケ」になったと本コラム第7回で紹介したが、「カラ残業」は「人が働いていない空の残業職場」ということである。いやはや、カラオケファンにとっては、妙なとばっちりのように思えた。

 カラオケ業界は、8トラからディスク、通信、ネットへとAV─ITのイノベーションの大波を幾度もかぶってきたが、その度に巧みにサーフィンの如く乗っかり、中年親父から若者、女性、ファミリー、シルバーとマーケットを変えつつ発展してきた。

 今は、携帯電話、車、電子楽器、テレビ、CATV──と「場」は多様化し、まさにユビキタスカラオケである。

 そんな折も折、PHP研究所より「カラオケ文化産業論──21世紀の生きがい社会をつくる」が発行された(税込み1470円)=写真。なぜカラオケは短期間にここまで発展し、日本人のライフスタイルを変えてきたか、カラオケの全体像に迫る初の本である。

 ねえワトソン君「思いきってカラオケ残業なる制度も面白いね」。「いやー、はまりこんで戻るる人がいないのでは!」。
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