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外国人投資家の姿勢変化で波乱 3-4月には上昇トレンドに復活か

2006/03/06 16:04

週刊BCN 2006年03月06日vol.1128掲載

マイナス材料の狼狽売りが相場を冷やす

 東京市場は、マイナス材料が増えて2月以降は不安定な動きになっている。要因のひとつは、大量に日本株を買い続けていた外国人投資家の姿勢に変化が出てきたこと。日本株は2005年に40%超と主要国のなかでは最大の上昇を記録、PER(株価収益率)などの投資尺度から見て欧米株に対して割高感が出てきた。世界的な景気拡大に一服感が出てきたことなどを背景に、ひとまず一番利益があがっている日本株を売却する動きにあるようだ。個人投資家が増えたといっても株式市場全体の売買の約半分を占めるのは外国人投資家で、彼らが売りに転じたとなれば投資家心理が冷え込んでしまうのも無理はない。

 また、日銀が01年3月に導入した量的金融緩和策(市場に必要以上の資金を供給して金融緩和を狙うこと)の解除が近いとの観測が広がっているのも気にされている。このほか、①米国の利上げ継続に対する懸念②9月の自民党総裁選を前に小泉政権の求心力低下③20万人以上の株主を持つライブドアの上場廃止の観測──などが株価の重石になっている。

 もっとも、これで上昇相場が終了したとの見方は少ない。05年10-12月期のGDP(国内総生産)は市場の予想を上回るなど景気回復の動きは力強さを増している。今回の調整はライブドア・ショックをきっかけにした新興市場での狼狽売りなど一時的な需給の崩れによるところが大きい。好調な企業収益が07年3月期も継続するのか、ある程度の見極めがつく3-4月頃に再び株価は上昇トレンドに乗りそうだ。05年12月期の経常利益が2.3倍という好決算を発表した楽天や、3月末の株式分割実施を発表したヤフーが上昇するなどネット関連株にも上昇する銘柄が出始めている。

 一方、米国ではグーグルの株価急落が話題。ネットの勝ち組として絶大な人気を誇っていたが、高値475ドルから短期間で340ドルまで30%下落した。(有賀勝久)
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