未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>91.ユビキタスエンターテインメント

2006/09/04 20:44

週刊BCN 2006年09月04日vol.1152掲載

次世代DBを開発

 ユビキタスエンターテインメント(清水亮社長兼CEO)は、次世代アプリケーションプラットフォーム「ZEKE(ジーク)」を開発するソフトベンチャー。ジークは、2004年に情報処理推進機構(IPA)の「未踏ソフトウェア創造事業」の採択を受けたデータベース(DB)だ。

 圧倒的なシェアを占めるオラクルなどのDBは拡張性・自由度が低くプログラムを書く場合は相当のスキルが必要という。そこで、汎用的なデータを決定するフォーマット「RDF」を使った「RDFDB」が注目されるようになった。もっともなじみ深いRDFDBは「Google(グーグル)」だ。グーグルなどで公開しているウェブAPIはDBに問い合わせを行い、結果をRDFで出力する。「RDFDB=ウェブ2.0と定義している」。しかしグーグルなどの各サイトは専用のAPIでしかサイトの中の情報を引き出すことができない。

 そこでウェブAPIを汎用化するため、ユビキタスエンターテインメントは「WWW」で利用する技術の標準化を進める米国の業界団体「W3C」が策定したウェブAPIの新標準「SPARQL(スパークル)」に対応した「ジーク」を開発した。スパークルはどんなRDFデータにも問い合わせを行うことができる。これを使えば誰でもグーグルのような全世界の情報INDEXやアマゾンのような販売網を出すことができるという。

 しかし、それだけで顧客はデータベースを買ってはくれない。システムを作るのに手間がかかるからだ。

 そこで今年の5月に携帯向け「ZEKE CMSソリューション」を開発した。HTMLでメタデータを作成後、フラッシュにしたいときに作り直す必要がない。各種メタデータを自動変換できるのでフラッシュも携帯電話のデータもAPIも場合によってはCSVにも対応できる。「ドラッグアンドドロップでページが作れたり携帯電話向けに縮小できる。動画を携帯電話向けに変換することも可能」。他社製品に比べてもカスタマイズの良さでは群を抜く。

 現在は10社のサイトに提供しており、ほかに20社で案件が動いているという。ASP提供のため初期コストが3分の1から半分に縮小でき、運用コストも30%削減できる。

 今年度(07年3月期)の計画ではジーク事業の売り上げが全体の30%を占める。今後はCMSやグループウェアなどのサービス、ジークそのものを販売する計画で、3年後には売上高6億円、2億円の利益を目指す。「ここ6年でオラクルと比較されるのが目標」と清水社長兼CEOは意欲を示す。(鍋島蓉子)
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