第89回目から「第二弾」として再スタートを切った本連載は、累計120回を迎えることになった。ここで、過去に掲載した事例を振り返り、ITコーディネータ(ITC)の取り組みを通じてIT化を実現した中小企業を検証しよう。

安久工機が開発した「血液循環シミュレータ」。人工心臓などの試作開発を評価されており、技術力はトップレベルにある

技術力や商材のPRに効果てきめん

 本連載では、ITCによる中小企業の活性化に向けたIT経営支援の実際を取り上げきたわけだが、全体を通じていえるのは、ITCの助言を受けた中小企業がIT化を図ることの重要性を認識している点だ。また、インターネットを活用してビジネス拡大につなげようとする企業は、厳しい市場環境のなかでも堅調に業績を伸ばしている傾向が高いということである。

 例を挙げれば、東京都大田区の加工業者である安久工機は、インターネットを知名度向上のツールと位置づけて戦略的に活用。ウェブによるプロモーションを強化するためのアドバイスをITCからもらってサイトをリニューアルしたところ、予想を超えるほどの数で新規顧客開拓に成功。過去3年間でウェブを通じて133社を獲得した。兵庫県養父市で但馬牛を中心に精肉を販売する平山牛舗も、ホームページのコンテンツでITコーディネータから助言を受け、その土地ならでは歴史や文化などの情報や牛肉を使った美味しい料理のつくり方を配信したところ、消費者からの問い合わせが殺到した。さらには、スーパーなど小売業からの問い合わせもあり、取引先の確保につながったという。

 両社共通の特徴は、他社との差異化が図ることができる技術力や商品を抱えていることだ。安久工機は、「試作開発」に長けており、大学など研究機関からの依頼で開発した機械式「血液循環シミュレータ」をはじめ、人工心臓関連を中心にした試作開発力が評価され、経済産業省から世界トップレベルのベンチャー企業に選定された。平山牛舗は、子牛の頃から購入して委託契約農家で丁寧に大切に育ててもらうことや一頭買いなどで希少といわれる但馬牛をリーズナブルに提供している。

 インターネットによるプロモーションの利点は、中小企業の能力を最大限に引き出せることにある。ITCは、その能力を引き出すための助言を適切に行ったのだ。(次回は共立電機製作所)

安久工機のホームページ。独自技術を駆使した商品の掲載が新規顧客獲得につながった

平山牛舗のホームページ。コンテンツの拡充で取引先が増えた