「モノづくり応援隊in大田区」の前田幸穂理事は、「中小企業を成長に導く策を講じることに努力を惜しまない」とアピールする
 この連載は136回目を迎えた。独立系ITコーディネータ(ITC)が関与してきたさまざまな事例を紹介してきたが、総じていえるのはITCが中小企業のIT化に大きく寄与しているということだ。第121回目からの「シリーズ第三弾」では、独立系ITCが立ち上げたITC団体の動きを取り上げたこともあった。今回はそのまとめとして、さまざまな地域で動きを活発化させている団体の取り組みから、中小企業のIT化への効果を検証してみる。

 中小規模の製造業者が集積する東京都大田区。ここでは、複数のITCが集結して共同で地元企業のIT化を図る動きが顕著になっている。団体名は「モノづくり応援隊in大田区」。大田区企業の支援活動を進めるNPO(特定非営利活動法人)だ。

 このNPOは、ユニークな視点で中小企業をIT化で支援した。「平成21年度新現役チャレンジ支援事業(モデル事業)」が中小企業庁の委託事業として採択されたのである。同事業は、企業OBになっている「新現役」と呼ばれる人材をNPOのメンバーとして募集。大田区内の中小企業が掲げている経営課題に対して、その会員が中小企業支援の経験や中小企業向け経営戦略策定モデルなどのノウハウを生かして効果的な経営支援を実施したのだ。

 新現役に対してNPO側から行ったのは、中小企業のコンサルティング手法を習得させるトレーニングやセミナーだ。習得した新現役は、中小企業へのヒアリングや訪問で経営課題を聞き出して支援。新現役を通じて実施した数は65件に達したという。同NPOで企画委員長を務める前田幸穂理事は、「複数の中小企業をマッチングするのは、NPOを設立した理由でもあるので、大きな成果」と自信をみせている。

「ITC-Labo.」の川端一輝代表理事は、「課題を抱え、苦境に晒されている中小ベンダ―は数多く存在する」と訴える
 大阪市には、「ITC-Labo.」と呼ばれる団体がある。ITCの任意団体として2002年に設立した後、有限責任事業組合(LLP)として3年ほど活動。09年7月には、社団法人として再スタートを切った。川端一輝代表理事は、「いまだに実地訓練(OJT)の機会は少ない。役立つITCになってもらうため、OJTの必要性を感じた。受講生の実践機会を設けていきたい。後進の育成をしなければならないという意識をもってITC-Labo.を設立した」と設立経緯を語っており、ITCのスキルアップでユーザー企業の経営戦略の立案やIT化支援の役割を担う方針を示している。

 ITC-Labo.では、IT化支援としてその企業が抱えている課題の整理と浮き彫りになった課題を役員間で共有することによる経営戦略フェーズからスタートさせるという。その後、ビジネスプロセスの定着とITの利活用によるビジネスプロセスのあるべき姿について検討し、ITベンダーの選定や開発プロジェクトのマネジメントに関わる。最終フェーズは、案件の成果の評価と次の計画に生かすことにある。任意団体として02年の設立以来、40~50件の案件を抱えてきた。

 このように、経営改善からITツールの導入までを網羅して中小企業の革新を図る役割を果たすITCの集合体は地域活性化の原動力となっている。(次回からは、「企業内ITC」の活動ぶりを紹介します)