関西のITベンダーの「今」そして「これから」

<関西のITベンダーの「今」そして「これから」>第4回 SIer系ITベンダーの動き(前編) 関西ビジネスの売上比率を高める 「オールジャパン」展開の強化へ

2011/10/13 16:04

週刊BCN 2011年10月10日vol.1402掲載

 今週号と来週号では、関西地区のシステムインテグレータ(SIer)系ITベンダーの直近のビジネス状況と今後の展開に迫る。NTTデータ関西や伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)など、大手SIer系ITベンダーは、文教市場などでのIT需要を受けて、関西地区での事業強化を目指す。また、「オールジャパン(全国展開)」をキーワードとして、ビジネス領域を日本各地へ広げているところだ。

伊藤忠テクノ
ソリューションズ
玉野井明良大阪支店長
NTTデータ関西
藤井浩司社長
 IT製品の販売やシステム保守を主な事業とするCTCは、今年7月、大規模な都市再開発が進んでいる梅田地区・JR大阪駅の「ノースゲートビルディング」に新しいオフィスを構えた。新オフィスでは、全スタッフを一か所に集めて、社内業務の効率化に取り組んでいる。CTCは、進行中の経営計画で地域ビジネスの強化を目標に掲げており、その一環として、現在は20%前後の関西地区の売上構成比を引き上げる方針だ。組織面では、西日本ビジネス本部が担当していた中部事業を今年度からCTC本体に移し、西日本ビジネス本部が関西地区に絞ったビジネスを展開できる体制を整えてきた。

 西日本ビジネス本部本部長兼大阪支店長の玉野井明良氏は、事業を伸ばすにあたって、科学系システム開発の分野を一つの有望株とみている。「関西地区は、大学や研究施設が非常に多く、ラボラトリ系システムは、コンサルティングから実証実験まで、市場開拓のポテンシャルが確実にある」という。CTCが全社で今後全力を挙げて取り組むのは関西発の商材の「全国展開」だ。玉野井大阪支店長の下で、文教のほか、これまで得意業界としている製造など、各業界向けに培ってきた関西の商材を、日本各地域へ横展開する動きを加速する。

 最大手SIerのNTTデータは、地域会社のNTTデータ関西を置いて関西地区でビジネス活動をしている。NTTデータ関西は、売上高約220億円(2011年3月期)のうち、およそ75%を法人や公共向けの外販が占めており、そのなかで、関西地区以外の地域を相手にしたビジネスが3分の1になるという事業構成だ。この比率から、同社が積極的に全国展開に取り組んでいる姿勢が読み取れる。NTTデータ関西は昨年、東京に営業所を設け、「本体と連携して『オールジャパン』の強化を推し進めている」(藤井浩司社長)と語る。NTTデータ本体は、製造業向け事業の売上比率を現在の2%から4%へと拡大することを狙っており、NTTデータ関西がもつソリューションは、方針を実現するうえでの重要な商材になっている。(ゼンフ ミシャ)
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