IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>124.自治体で活躍するITC(下) セミナーで自治体案件を獲得

2013/04/25 20:29

週刊BCN 2013年04月22日vol.1478掲載

 ITコーディネータ協会(ITCA)は、ITコーディネータ(ITC)の活動領域を民間企業から自治体へと広げるために、2010年から「自治体ビジネス研修」を月に1回ほどのペースで実施している。セミナーでは、自治体に関する基本的な知識から実際の提案の仕方、自治体クラウドへの本格的な移行方法までを紹介する。これまでに約500人のITCが受講しており、そのうちの約100人が実際に自治体を訪問している。

 主に千葉県で活動している名和満ITCは、セミナーをきっかけとして自治体の案件を獲得したITCの一人。名和ITCは、2010年頃にITCとして本格的に働き始めたが、「中小・零細企業の案件だけでなく、より利益を上げるために、新たな営業先を探していた」(名和ITC)という。自治体に仕事があると聞いて、第一回目のセミナーに参加した名和ITCは、研修を受けた翌日から自治体への営業を始めた。千葉県内の数十か所の自治体を訪問したところ、印西市の案件を獲得することができた。「研修では、自治体の担当者が警戒心を抱かないように“営業”という言葉を使わないなど、実践的なことを教わったが、こうした気遣いで自治体の担当者とのコミュニケーションを円滑にすることができた」(名和ITC)という。

 名和ITCは、印西市で12~16年度の情報化計画の策定や、市がアウトソースしている基幹システムの運用コストの見直し、市職員向けの情報セキュリティの研修、市のウェブサイトの再構築に向けたRFP(提案依頼書)の策定を行った。実際に自治体で働いてみて、「自治体は、ITベンダーから特定の製品を提案されることを不本意だと思っている。その点でITCは、中立的な立場から支援でき、細かなニーズに応えやすい。ITCにとって仕事をするのに最適な環境だ」と実感している。

 自治体にはまだまだITCの活躍できる余地が残っていると確信した名和ITCは、今度は自分の所属するNPOちば経営応援隊のメンバーと一緒になって、千葉県庁の案件を獲得しようとしている。県庁では、印西市でやってきた仕事に加えて、「県内の自治体や教育機関を巡回して、県内全域のITリテラシーを向上するための研修会などを開催できるように提案している」と意欲をみせている。(真鍋武)
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