小売業や飲食業など、B2Cビジネスを中心として、モバイルアプリケーションの構築が活況を呈している。アプリ開発ベンダーは引く手あまただという話も頻繁に聞くようになった。ここ数年はアプリのリリース件数に反して儲からないといわれることも多かった。しかし、企業向けのアプリ構築はアプリ業界がようやく行き着いたドル箱ともいえよう。

 アプリは一見、コンシューマが利用する、それ一つが完結しているものとしてみられがちであったが、昨今ではクーポンやポイント管理など、CRMの一部の機能を内包したアプリとしても提供され始めている。いわば、「ウェブサービスのデバイス側の出窓」ともいえる機能を実装し始めているわけだ。また、一部の事例では在庫の照会やそのアプリを通じてのコマース連携まで実現している例が現れ始めている。

 すなわち、基幹システムと連携して、そこで管理されているさまざまな情報を、これまでウェブにフィードすることは行われていたわけだが、現在はユーザーの手元にあるデバイスまでフィードすることによって、顧客によるセルフサービスを促進するだけでなく、行動履歴などさまざまな顧客動向をとらえることができるので、活用が期待される領域になっている。

 「オムニチャネル(すべてのチャネル)」と呼ばれる顧客接点再編のトレンドは、これまでのように独立しているか、疎連携であったチャネルを密連携する試みに変わり始めている。なかでも、モバイルアプリはマーケティング施策や基幹システムの情報フィード先としても重要なだけでなく、顧客の動向や導線をとらえる意味でも極めて重要なチャネルとしてのポジションを占めている。

 オムニチャネルの成功の鍵を握るのは各チャネルの間を柔軟に結びつけるモバイルアプリの充実度やそのアプリと連携・連動する基幹システムと既存チャネルとの密な連携モデルの構築だ。手前味噌で恐縮だが、弊社でも「Deloitte Digital」というアプリ開発やウェブ連携・統合を戦略構築やオペレーション改善と併せて手がけるブランドをグローバルで展開しており、日本でもサービスを開始した。クライアント企業からの引き合いも多く、市場が大いなる課題感と興味を抱いていることを痛感している。

 この次に想定されるのは、いよいよ機関連携を密に行える企業内向け(従業員向け)アプリケーションの展開であろう。アプリの領域においても、コンシューマライゼーションは着々と進行中である。