視点
電子雑誌で男性誌をつくるのはむずかしい
2013/10/17 16:41
週刊BCN 2013年10月14日vol.1501掲載
昨年2012年、電子書籍と電子雑誌の市場規模は計768億円で約100億円が上乗せされた。伸長率は15.9%である。その内訳は、電子書籍が729億円、電子雑誌が39億円。紙の市場は全体で1兆7398億円だから、電子版の占有率は4.4%になる。皆さんはこの数字を見て、電子雑誌は電子書籍に比べて20分の1程度しかないのか、少ないなあと感じませんか。それは、雑誌に関わる権利の問題が極めて大きく、カメラマン、デザイナー、ライターなどへのフィー分配システムにも起因している。
そのほか、読者による男性誌と女性誌の読み方が異なる点にも電子雑誌を制作するむずかしさがある。女性はファッション誌を最初の1ページ目から最後まですべて読み、一方、男性は雑誌を買っても読みたいところだけに目を通して、読み終わったら捨ててしまう。
電車の網棚に、読み終えて捨てるように置いてあったのは、男性誌だけ。女性は自宅に持ち帰ってじっくり読むので、電子版をつくる際にも1冊丸ごとをデジタル化できる。ところが、男性誌は「ビジネス」や「政治」「旅」「芸能・風俗」「モノ・グッズ」など、いくつかの雑誌銘柄をカテゴリー別で串刺しにして編集することも求められている。そこに違いがあるし、制作のむずかしさがある。
ネット上にある無料の情報が氾濫するなかで、有料の電子雑誌を購入してもらうべく、読者調査やマーティングが行われている。しかし、それが進むにつれ、デジタル版の雑誌戦略は複雑になっているのが実情だ。ただでさえ、紙の雑誌販売は大きく落ち込んでいる。2011年に比べて2012年は約460億円減少しているので、雑誌の拡売は出版界の最重要課題ともいえる。
そうしたなかで、電子雑誌を伸ばすのは容易なことではない。さらに、読者がデジタル版を選ぶ理由の一つには「価格の安さ」がある。とくにシルバー世代の男性ほど、安さを求めていることもわかっている。
一方、女性の購買意欲は街のショッピングモールをみても明らかだが、とても旺盛である。電子雑誌に掲載された服やバッグ、靴などが購入できるネット通販事業も出版社の領域のなかで定着した感がある。やはり、元気なのは女性のほうなのだろう。
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