燃えよユーザー会 ~もっとITを有効活用したいユーザー企業へ~

<燃えよユーザー会 ~もっとITを有効活用したいユーザー企業へ~> ユーザー会も海外展開の時代へ ――MCFrameユーザ会

2013/12/17 20:28

 東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)の製造業向け基幹業務パッケージ「MCFrame」。そのユーザー企業で組織されているのが「MCFrameユーザ会」(MCUG)だ。発足は2005年と比較的新しいが、マンネリ化させないという方針の下、お祝い会や工場見学といったユニークな取り組みが人気を集め、毎年順調に会員数を増やしている。

ユーザーの要望が新機能に

 「リプレースの時期は必ず来るので、『ユーザ会』をしっかり利用したほうがいい」。会員から、経験にもとづいたこんな話が上がってきた。「MCFrame」を10年以上使っている企業が、その10年間で1回、最新の「MCFrame」へとリプレースする機会があった。その企業は、最初にカスタマイズした機能を、リプレース時にも同様にカスタマイズによって実装した。そこで「ユーザ会をうまく活用していけばよかった」となる。

 というのも、MCFrameユーザ会(MCUG)では、パッケージに実装してほしい機能を会員が議論し、要望として毎年提出しているからだ。要望件数も要望取込み件数も毎年増えており、2012年度は要望が314件で212件を機能として取り込んでいる。冒頭のユーザー企業の場合、これを利用していたら、リプレース時のカスタマイズが不要になったかもしれないというわけだ。MCUGと東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)の関係がよくわかるエピソードだ。

 2005年の発足は、B-EN-Gからユーザー企業への働きかけがきっかけ。だが、初期に賛同した4社からユーザー主導の要望があり、その4社が発起人となってユーザ会が設立された。「ベンダー主導だと、言いたいことが言えないのではないか」ということだった。現在、B-EN-Gは事務局としてユーザ会を支えている。

 初年度は28社でスタート。会費は2万円で、発足時から変わらない。有料だと会員数の伸びが課題となるが、順調に増えて、2013年10月時点で107社。昨年から20社以上増加している。

プレミアムクラブ(仮称)も

 総会は年に1回、9月に開催している。この総会でユニークなのが、二つの「お祝い会」だ。一つは、前年度に本稼働したユーザー企業が対象。本稼働祝いである。「システムは動いてあたりまえで、トラブルが発生すると怒られる。システム部門は何かと苦労しているのに、社内ではなかなかほめてもらえない。だから、みんなでほめあおうということで、始めて3年になる」と、事務局としてMCUGを支えるB-EN-Gプロダクト事業本部プロダクトサービス本部コンサルティングサービス部の伊与田克宏コンサルタントは語る。ちなみに、B-EN-G社内に事務局担当の専門部署はなく、「MCFrame」の関連部署で分担しているという。

 もう一つは、「MCFrame」を使いはじめて10年になる“ベテラン”ユーザー企業を対象としたお祝い会。ここには「10年間ありがとう」というB-EN-Gの感謝の気持ちも加わっているのだが、今後はMCUGとしての別の展開も模索している。「会員歴の長い人は、どうしても新鮮な話題が少なくなりがち。長く参加している会員同士の高度な討議が望まれている」(伊与田コンサルタント)。そこで挙がっているのが、長く参加している功労者による「プレミアムクラブ(仮称)」だ。プレミアムクラブの会員だけが参加できる研究会などを企画しているところだという。

若手育成の場として

 MCUGの会員は基本的に製造業。そこで年1回、会員の工場見学会を実施していて、これが人気の企画になっている。一般には、他社の工場には入ることができないからだ。受け入れ側にもメリットがある。他社が見学に来るだけで現場が引き締まり、さらに、気心の知れたMCUGの会員同士なので、案内役にあえて若手社員を立てるなど、人材育成の場にもなっている。

 MCUGのさまざまな活動のベースになるのが研究会だ。現在は「マネージメント研究会」「活用研究会」「Pharma研究会」「グローバル研究会」の四つがある。研究会の開催は年に3~5回。場所は東京中心で、ときどき大阪で開催していたが、最近では九州で開催することもあるという。また、医薬品・化粧品業界向けのPharma研究会はユーザー企業が多い富山で開催するというように、ニーズに応じて柔軟に対応している。

 重要なのは、研究会のリーダーを若手が担っているということだ。設立当初は大手企業の部長クラスがリーダーを務めることが多かったが、近年はより若い世代がリーダーになっている。会員企業がさまざまな業界の会員が集まる場で若手に経験を積ませる機会を得る一方で、若い層からのユニークなアイデアや新たな意見がMCUGにもたらされるようになった。これが、MCUGの脱マンネリ、活性化につながっているのである。

 ユーザー会が活気づけば、当然ユーザー同士の交流も盛んになる。いい例が、「MCFrame」を新たに導入する予定の会員と既存会員とのやり取り。導入のコツを既存会員が教えるという流れができた。実は、これには重要な意味がある。

 システムの立ち上げは、通常、ユーザー企業とITベンダーの共同作業になるが、ユーザー企業にはその加減がわかりにくい。ユーザー企業は、ITベンダーに丸投げしたいと思っているかもしれない。「導入を経験したユーザーの立場からは、システム導入時にベンダー側へ任せるべきこと、ユーザー企業側で行うべきことの線引きを、適切に、説得力をもって伝えていただける」と伊与田氏は語る。このアドバイスを受けた会員が、次の新規会員にアドバイスをする。この流れがMCUGの活性化につながっている。

 新たなアイデアの一つとして開催されたイベントに、「スマートフォンワークショップ」がある。このワークショップでは、スマートフォンを製造現場で使うとどうなるのかについて議論した。その成果は、2011年に「MCFrame」のツールキットになり、オプションで発売された。また、2013年には製品化まで至っている。「今後も、MCUGを通じてユーザーと一緒に新しい製品を作る活動を進めていく」とプロダクト事業本部事業本部長付きの沖聖子氏は語る。

海外にも展開

 リーマンショック以降、円高などの影響によって、日本の製造業が海外に生産拠点を求める傾向が続いている。「MCFrame」は製造業向けであることから、海外でもユーザ会をという声が出てきた。B-EN-Gではタイと中国に早くから現地法人を置いている関係から、まずは2013年にMCUGタイを設立。次は中国への展開を目指している。もちろん簡単ではない。「中国は国土が広く、どこに集まるにしても移動時間がかかってしまう。みんな忙しいので、簡単には集まることができない」と、伊与田氏は今後の課題を挙げた。

年に1回は会員企業の工場見学を実施

【概要(2013年11月現在)】

入会資格:有効な「MCFrame」ライセンス契約が締結されていること(正会員)
入会金:なし
会費:20000円/年
会長:竹内公文(武州製薬)
主な活動:定例総会(毎年9月開催)、研究会(常設)、旬のテーマを取り上げるワークショップやセミナー、会員企業の工場見学会など
会報誌:MCFrameユーザ通信(全ユーザーに配布)
会員企業数:107社(2013年10月時点)
発足:2005年
その他:タイでMCFrameユーザ会が活動
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外部リンク

MCFrameユーザ会=http://www.mcframe.com/support/users/