前号で、SIerの海外でのヒット商材づくりは、つまるところは業種・業態への密着が成功への近道であるとレポートした。SIerのアイティフォーも、最も強みとする業種・業態を切り口に、初めての海外進出を果たそうとしている。

債権管理システムを海外へ

　アイティフォー（東川清社長）は、クレジット会社などが使う債権管理システムの分野で国内トップシェアを誇る。こうした得意とする業種をもちながらも、これまで海外進出の機会に恵まれなかったが、ここにきてASEANに進出しているクレジット会社から債権管理システムの引き合いが来た。遅くとも年内にはタイで海外初の債権管理システムが本稼働する見通しで、その後のアジア市場での横展開も視野に入れる。

　債権管理システムは、クレジット会社や大手流通・小売業が手がける金融サービスで需要があるが、少なくとも、これまでアジア地域では、金融サービスの市場は大きくなかった。だが近年は、一般市民が行きつけのスーパーで気軽にクレジットカード機能つき会員カードを取得するなど、「個人向けの金融サービスの充実に伴って、債権管理システムの需要が急拡大している」（アイティフォーの東川社長）ことが、初の海外進出を後押しした。業種ノウハウと市場拡大のタイミングをつかんだ好事例といえる。