海外経験を武器に

　個人事業主として4年目を迎える白井千晶（45歳）の強みは、「海外経験」だ。

　3社の企業勤めを経て独立した白井。3社目のSIとプロダクト販売の会社で、オフショア開発拠点の立ち上げを指揮した経験がある。場所は中国とフィリピン。日本の品質レベルでソフトを開発できるよう、スタッフを育成して体制をつくり、コスト削減につなげた。この経験と実績は、独立した後の白井を支えている。

　オフショア開発に乗り出したものの、思うように成果を上げられていない日本のソフト会社に、白井独自のノウハウを販売している。「海外開発体制の整備」は、白井のサービスメニューの一つになった。今は、日系IT企業の海外開発拠点の設立支援だけでなく、日本のIT企業からオフショア開発を受注したいと望む東南アジア諸国のIT企業の日本進出もサポートしている。「最近はベトナムに訪問する機会が多い」という。

　白井が今年から挑戦している「グローバルアウトソーシング」という構想は、この海外経験があったからこそ思い浮かんだそうだ。グローバルアウトソーシングとは、日本または海外のソフト開発プロジェクトを受注し、内容に合わせて適切なフリーエンジニアを世界から選りすぐり、一時的にチームを形成するという仕組みだ。決して斬新なモデルではないが、これを日本と東南アジア諸国にある複数の国で手がけようとしている。開発環境やコミュニケーション基盤は、ウェブ上につくる。安価にITリソースを利用できるクラウドが普及したことと、海外に強い白井のノウハウがあるからこそ実現できるという。「いくつか同じようなモデルを考案している企業があると聞いているが、人脈と経験がないと完成しない」と白井は自信をみせている。（つづく）［文中敬称略］