視点
攻めのIT投資の受注を目指せ
2014/08/21 16:41
週刊BCN 2014年08月11日vol.1542掲載
クラウドコンピューティングは“アメリカ産”だ。IT技術者全体の71.5%がユーザー企業に所属する(米国労働省調査)というアメリカで生まれた。情報システムの人的・物的な効率化を追求する一方で、ITを活用したビジネスモデル(次の収益源)を生み出すため、物理インフラの解消を狙うなかで登場したといえる。情報システムを「攻めの投資」にする考えが根づいているからだ。
アメリカのクラウド利用方法を日本にそのままもち込むことはできない。理由は、日本はIT技術者の75.2%がITベンダー側に所属する(情報処理推進機構のIT人材白書)という実態があって、システムをつくる環境がアメリカとまったく異なるからだ。ITベンダーがユーザー企業の情報システム構築に深く関与しなければ、ITをうまく利活用できないという事情がある。
名古屋でこんな事例を目にした。EDI(電子データ交換)から出てくる紙の帳票類を電子化する案件だ。地元の中堅ITベンダーが超高速開発のツールを使ったクラウド構築で数百万円で受注したという。競合会社は大手メーカー系のITベンダーだ。そこが提示した見積りは、ざっと10人月で、1000万円以上。前者とは10倍近くの開きがある。
受注したITベンダーにしてみれば、大手ITベンダー傘下の下請けのほうが、一時的な儲けは大きかっただろう。だが、システムを発注した企業は、次のステップとして大規模な物理サーバー群のクラウド化を模索中だ。この数百万円の案件は、業務効率化やコスト削減の一環だが、次なる「攻めのIT投資」の案件がみえている。一時的な儲けを狙うか、先を見据えるか──。さて、どちらが得なのか。
アベノミクス景気が影響してか、受託ソフトウェア開発や物理インフラなど従前のシステム構築案件は活況だ。情報サービス産業協会(JISA)調査の「JISA-DI調査」によると、7~9月の雇用判断予測は、前年同期に比べて34.6ポイントも増加する。今夏の賞与で1人100万円以上を出した、とする中小ITベンダーの声をよく聞くのもそのためだ。
だが、東京五輪が終われば景気の減速は必至。今から企業の「攻めのIT投資」を促すクラウド構築に目を向けて、営業・マーケティング、技術者の人的体制整備をしなければ、生き残れなくなる事態は避けられない。
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