日本でも「フリー」が活躍できるように

白井千晶 氏 白井千晶(45歳)が、世界のフリーエンジニアを組織化して、システム開発プロジェクトを共同受注する仕組みを考案したのは、「フリーエンジニア」を一つの職業として認めてもらいたいという思いがあるからだ。米国ではフリーランスが活躍できる環境が日本よりも整っている。白井は、米国並みとまではいわないが、日本でも力のあるエンジニアは一人で仕事ができる環境が整ってほしいと願っている。
「技術力と交渉力があれば、日本のエンジニアも個人事業主として十分にやっていけるはず。企業に勤めている人でもフリーエンジニアとしてやっていける素質のある人はたくさんいる。ただ、環境が整っていない。それを私は整備したい」。
白井が考案した共同受注の仕組みは、今急ピッチで準備が進んでいて、フリーエンジニアは白井の用意したウェブ上のインフラコミュニティに登録すれば、自分の適性に合った仕事が受注できる。
一方で、白井は警鐘も鳴らす。「技術力に自信があっても、それだけでフリーでやっていけると思っている若い人は注意が必要。個人事業主として生き抜くには、技術力と同じくらい交渉力が大切になる。ビジネスをつくるためには、企業人以上にビジネスに対してシビアに考えなければならない。この交渉力を身につけるには、3年以上は企業での経験を積んだほうがいい」。
企業人以上の報酬を得るチャンスがあって、企業人にはできない経験を積めるのがフリーエンジニア。その一方で、独特のスキルが必要であるということを白井は強調する。(おわり)[文中敬称略]